「砂時計というのは、時間を可視化するツールだと思わないかね」

「砂時計というのは、時間を可視化するツールだと思わないかね」


「それをいったら普通の時計だって、可視化するじゃないか」


僕は壁の丸い時計を示した。分針と時針が追いかけっこをしている。


「たしかにそうだ。でもコンセプトが違うのさ」


彼は砂時計を振り返って続ける。


「時計は回り続ける。ぐるぐると。繰り返す永遠の時をデザインしているんだ。でも砂時計は」


と彼は言葉を切った。その瞬間、砂が落ちきって、動きが止まった。


「尽きる。砂は有限だ。これは有限の時間を可視化しているんだよ」

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短編断片集 もがみたかふみ @mogami74

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