第3話
これが帝国が為した事への報い。その末路。
この光景を帝国へと伝えさせるために、少女は敢えて尖兵隊を巻き込むようにはしなかったのである。
この時だけは、いつも胸を刺し、自らに苦痛をもたらす感情たちが何処かへと行く。一時の安息が少女にはもたらされていた。
――そして村では、その光が巨人の放った物だとも知らずに、村人たちは地に深々とひれ伏し天に住まう神を畏れた。それを神が帝国にもたらせし天罰だとして。その矛先が間違いでも自らに向けられぬよう目にすることを止め、祈り願っていた。
その中でただ一人、少年だけはそれを畏れることをせず、ひたすらに小さくなって行く光を見詰めていた。そして徐に伸ばした手をかざす。その時、少年の目に映るのは先を行く兵士たちの背中であった。その中にある、たった一人の血を分けた者の背中であった。
二
夜が明ける。
村人は少女と彼女が連れる白銀の巨人を前にするとことごとくが頭を垂れた。そして贄を差し出す。それは神が裁きを自らに下さぬようにという願いであった。それを見る少女の碧玉の瞳は冷め切っていた。
そして最低限の水と食物を少女は頂き、それを巨人へと背負わせるとその村を出た。
少女を抱える巨人のその背をふらふらと、覚束ない足取りで少年が追い掛ける。少女は振り返ることは無かった、
――END
夢を謳う少女 夢を見る巨人 厄災の種 こたろうくん @kotaro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます