第2話 レッドリスト

ーーーー 妻からの話、続き。


「1階から電話があったわ」


(オヤジからだ)


玄関前で、小鳥が鳴き続けてるらしい。


早苗さなえ(仮名)ちゃんの小鳥がうるさくて、眠れない!」


 と言われたようだ。


 “早苗“とは、私の娘の名前。


妻が念の為オヤジに、鳥の巣の話をしていた。巣の近くに1階の窓があり、何かと伝えていた方がいいと考えてそうしたと。


娘が偶然にも小鳥のひなを見つけ、その真上の巣も発見したので『早苗の鳥』と、名前を付けられた。所有者にされたのに等しい。その保護者として、妻と私に「睡眠障害が起きている! 何とかしろ!」という責任が背負わされた。


(小鳥のさえずりは『うるさい』もの? 騒音か?)と、不思議に思った。次第にムッとした感情が湧き出てきた。現代人、都会人、若者なら、いざ知らず、オヤジは80を越えた田舎育ちの年寄りだ。普通なら「懐かしい。育った村の雰囲気だ。古里ふるさとを思い出す」と、言いそうだが………)


それを聞いた妻が下に見にいくと、確かに車の下に一匹、ピヨピヨと鳴く雛がいたという。昨日より数段成長していたらしく、薄若草色の毛も生えて、それはメジロの子だと気づくほどだった。その近くの植木鉢からは、激しい鳴き声がしていた。親が心配して雛の前で、鳴き続けていたようだ。意味的には、恐らく【バカもの! 外に出るにはまだ早い。何としてでも、巣に戻れ!】だと思う。


それを感じつつ、妻は雛を再び、手袋をして巣に戻したと。


ーーーーーーーー



私は「そんな事があったんだ。どれどれ」と、その巣があるという木の近くに足を運んでみた。お菓子を入れるような竹で組まれた小さなかごを持って。(これが代わりになるかもと、素人考えで……)



すると、その下、家の角で鳥の鳴き声が聞こえてきた。それも2,3匹だ。

大雨と風のせいで壊れたのか、ヒナが成長して重さに耐えられなかったのか、巣が壊れたようだ。ハトが途中までしか作らかったのに、補修をしなかったのだろうか。巣から落ちてしまった雛たちを捕まえようとした。弱っちい一匹はすぐ捕まえられて、木の中程に仮に設置した籠に入れることができた。


しかし、元気のあるもう一匹は軽くばたついて、道路に飛び出した。二車線程の広さだ。それを捕まえようと、両手を広げた。前方からデイケアの小型送迎バスが近づいてきた。『自分の命と引き換えにでも助けるぞ!!』と必死に追いかけた。


心の中では「絶対に捕まえてやるぞ!」という自信と、年寄りたちを乗せた車だからスピードは出てないし、僕は道の真ん中でひき殺されることはないだろうと、楽観的でもあった。まぁ、普通に考えて道に人が居たら、車は止まってくれるだろう。


何とか、そいつを捕まえて仮の巣に入れた。二匹しか見当たらない。戻って聞いて見ると、「確か、三匹だったはず」と聞いた。


(あーっ)


 そいつは、無事に生きているのだろうか? 野良猫やネズミにやられてないか、心配になった。


ーーーーーーーーーー


『めじろ』


という種類だと分かった。


目の周りは白いのが特徴だ。まだヒナにはそんなものは確認できないが、羽の色と大きさからして、この辺に住んでいるイソヒヨドリではなさそうだ。


色々と調べると、人間が取ってはいけない。


環境省指定のレッドリスト・・・・・・という鳥らしい。


 絶滅危惧種だった。


(知らなかった………)


 声が可愛い。



 レッドリストとは、


正式(大辞泉)には、レッドデータブック(Red Data Book)という。絶滅の危惧にある野生生物の現状を記録した資料集。国際自然保護連合が1966年以来発行し、ワシントン条約や各国の保護政策などに反映される。


『ふむふむ』


飼育レベルーーーーー 落ちた雛に向かって「こらっ、戻れ!」と、叱る親の行動を知った。5pt位がアップしたはず。メジロはレッドリスト、絶滅危惧種だと分かった。さらに7ptは追加アップだ。



ーーー Lv19   (7+5+7)



レベル100は、まだまだ遠い。





つづく

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巣立ちの時までに小鳥飼育の経験値をアップするべし 琉 紅 @youbou

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