時は十五世紀はじめ。まだ薩摩島津に侵略されず、沖縄が日ノ本ではなく、琉球と呼ばわれていた時代。
そこでもまた、北山、中山、南山の三国に別れた群雄割拠が行われていた。
そんな動乱の波間、小さな島に、ひとりの少女が暮らしていた。
外の世界にあこがれる少女、美久はその霊能を買われ、神人(かみんちゅ)として、軍師としての教育を受ける。
だが、仕えるべき尚巴志は己が野心のために急速に勢力を拡大していき、やがて美久の想い人、賢龍王子の北山をも陥れんと画策する。
戦国の過酷さの先、彼女たちが行き着く世の果て(ニライカナイ)とは、何処なのか……?
文章としては粗削りながらも、難しい題材に果敢に挑み、そして見事書き上げたそのチャレンジ精神を評価したいです。
また、ストーリーの骨組み自体はしっかりと組まれて、前中盤の伏線も綺麗に回収されているので、話数の多さの割にサラサラと読み込むことができます。
今後の成長に期待したい、新進気鋭の意欲作です。