えぴそーど、じゅうご。しもばしらのすきなようじょ。
みなさま、エッセイではお久しぶりです。猫田パナです。
もうずっとこの育児エッセイを更新していなかったのですが、ふと書いてみようかなと思い立ちましたので、きまぐれに更新してみます。
娘、パナ子は現在四歳で、幼稚園に通っています。園バスがお迎えにきてくれる場所はちょっとした公園になっており、バスより早めに公園についた時には、娘と二人で公園の中をぷらぷら歩きながら植物の様子を観察したりしています。
そして十二月頃から、公園の土に霜柱(しもばしら)がたくさんできるようになりました。
霜柱は針のように細い氷の柱が無数に地面に生えてくる現象で、寒い日の朝によく見られます。
「ママ、なにこれすごい!」
パナ子は大はしゃぎで霜柱を持ち上げてみたり、足で踏んだり。足で踏むと、サクサク音が鳴ります。
「ほんとだ、すごいねー」
私も思わず、霜柱のかたまりを持ち上げてみます。きれいに整列した霜柱がぎっしり並んだそのかたまりは、どことなく巣みつのようで、おいしそう。
「びゃ~~~!」
「おもしろーい!!」
こうして私たちはすっかり、霜柱大好き人間になってしまいました。
冬の朝は起きるのが億劫です。娘も私もなかなか布団から出られません。
でも娘に幼稚園に行ってもらわないと困るし私は大人なので、アラームが二回程鳴った後、仕方なく起きます。
「パナ子~。朝だよ~。起きな~」
娘の肩をゆすりますが、もちろんその程度では起きません。でも……。
「早く起きて準備して、公園行って霜柱見よ?」
と私が言うと、娘はすぐに目を覚ましました。
「うん、おきる」
また、私たちはある日図書館で「しもばしら」という絵本まで見つけてしまいました。
図書館には他にもたくさんの絵本がありましたが、娘は「しもばしらが借りたい」と言いました。
他の絵本はいらない。しもばしらだけを借りたい。
そしてある日、園から帰ってきた娘は、お友達と公園で遊ぶことになりました。
その日は私と娘、そのお友達とお友達のママの四人で、おうちごっこをすることになりました。
おうちごっこではそれぞれが家族やペットの役になり、架空の家での暮らしを演じます。
「誰がなんの役をやる~? 私はハムスターのハムハム!」
お友達が可愛らしい声で言いました。そのお友達はハムスターが大好きなのです。
娘は滑り台の一番上に登り、すっと立ち上がると言いました。
「私は、バシラ」
「…………え?」
私たちは耳を疑いました。バシラ?? バシラって何??
「ねえ、バシラって人の名前? ちょっと変わった名前だね」
私がたずねると、娘はうん、とうなずきながら言いました。
「私はシモ・バシラ。三歳の妹」
シモ・バシラ。三歳の妹……。
どんだけ霜柱が好きなんだ。そしてネーミングセンスが奇抜。
「そんな名前はダメですぅ~」
可愛いもの好きのお友達が、笑いながらブンブン首を振っています。
「じ、じゃあママはどんな名前の人になろうかな~」
私がそう言うと、娘はスッと手をあげました。
「パナ子が、ママの名前決める」
「いいよ~」
娘は私を指さし、言いました。
「ママの名前は『キ』。『キ』っていう、お母さん」
「キ」
一文字の名前。
シモ・バシラとキの親子。
大自然。
「わかったぁ~」
それから私たちはおうちごっこを始めました。
そしてキとシモ・バシラとハムハムと、十四歳の老犬(役になったお友達のママ)は、どんぐりや土のケーキを食べたりしながら、日が傾くまで公園で楽しく暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし~。
萌え豚、母になる。 猫田パナ @nekotapana
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。萌え豚、母になる。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます