「送春」
庭で彼女が着物と羽衣を纏って舞っていた。
そこは一切の音がなくなったかのように静かに、荘厳に、美麗に、儚く別れを惜しむかのように。最後に彼女が手を打って終わった。
後で何をしていたのか聞くと。
「何、送春の舞よな。妾も神故、春を次に送る力を渡しておった」
なるほど神様、よくわからん。でも一つだけ確かな事は。
「それって、春を送ったら春より嫌いな夏を迎えるって言ってるような」
「! ぐっ」
彼女はがっくり項垂れた。
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