「花疲れ」
三十二回。この数が何か分かるだろうか。正解は今年だけで花見をした回数。自分でも正気かと思う。
おかげですっかり花疲れ、襖を閉じた居間でのんびりお茶をすすっていると。
「家畜! 酒を飲むぞ花見酒だ!」
「いえ、私は花疲れなので」
「なんと! 実に軟弱なことよなぁ」
ふふんと鼻で笑われついかちんときて。
「いいでしょう、花見酒しましょうか」
彼女が開けた襖の向こうの桜を見ながら一献やり。翌日も疲れの取れない懲りない私。
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