ktw(仮称)
@Asameshi765
1章 1話
20XX年8月 東京都中央区
たけのこ、きのこ両軍は八重洲道りを挟んで、睨み合っていた。まるで時が止まってしまったかのようだった。
くそったれ。こんなことなら軍隊なんてやめておけばよかった。いつかはこうなるだろうと覚悟はしていたつもりだったが、、、。
竜二郎は、揺らぐ気持ちを押し殺し顔をあげる。直後、地を震わすほどの音が轟く。雷だろうか。否、戦いの火蓋が切られたのだった。すかさず、こちらも応戦する。周りを見渡すと、仲間であっただろうモノが薬莢と共に転がっている。
そのとき背後に、先程と同じように轟音がはしった。結婚したばかりの妻に思いを馳せる暇もなく、体を地に叩きつけられた。
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事の始まりは20年前までさかのぼる。時の内閣総理大臣であった竹近圭は食品は常にいかなる時でも安全であるべきという厳しい理念をもとに、食品衛生法改正案を提出。内容は従来の食品衛生法とは比べ物にならないほど厳しく、中にはやりすぎとも言える重い罰則も含まれていた。
もちろん、過激な罰則は憲法に反するのではないかという指摘はあり、特に竹近の最大のライバルとも言われていた志井田慶次の属する最大野党であった勤支党から激しい追求を受けたが、当時の与党最大派閥竹近派の影響力が大きく、激しい野党の批判の中でこの案は可決された。
しかし当然、この法案に反対する企業が後を立たたなかった。また、管理体制の強化により上がったコストにより、食品の大幅な値上げが発生し、結果国民からも支持を失うことになった。そうして、竹近派の議員をはじめとした改正案に賛成をした議員の人気が急落し、いよいよ竹近内閣が衆議院を解散させるかどうかというところで事が起こった。
後に、人々はこの日のことをこう呼んだ。悪魔のプレゼント《ナイトメアヴァレンタインデー》と。
ktw(仮称) @Asameshi765
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