第13話 責任の擦り付け合い
「次、次行こ、次!」
そう言ったのは、ミオだった。
彼女もまた空元気のように見えた。かろうじて笑顔を保ってはいるが引きつっていて、少しの衝撃で壊れてしまいそうな、そんな脆さを孕んでいる。
ソウタが画面を上にスワイプした。
画面には【②読むにあたっての注意事項】という文字。今回は特に指定もなかったので、
「俺はパス」
そう言って、キョウゴの前の机の上にゴトリとユイナのスマートフォンを横たえ、また自分の世界に戻ってしまった。
残された部員たちにはそれをどうにかする術もなかった。
次に誰が読むのか決めなくてはいけない、でも自分はやりたくない、でも人に押し付けるなんてできない、だから何も言えない。けれど、誰かが何か言わなければいけない。
沈黙の中で緊張感が高まり、時間の経過と共に少しずつ声を上げずらくなり、次第に息をする音さえ潜めるようになっていった。
「さよなら、屋上。」 都稀乃 泪 @ask-rain_of_sadness-2
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