第12話 静まり返る教室

 ①を読み終わったあと、私たちの間には少しばかりの沈黙が流れた。

 私たちにパスワードが解けるのかという不安、や読みが当たっていたと得意げになっていた、とか思ったより明るいメモ手紙へ拍子抜け、なんてのもあるのかもしれない。


 その沈黙は少しばかりの緊張を纏っていた。「ご注意を!」なんて軽く書かれてはいるが、【可能性を孕んでいる】という文面は、これからの発言で失敗してしまった時、言葉でなく態度で、空気で、それを責められる、そんな気がしてならない。


 自殺を実行した人間とはとても思えないほどの明るい文面は、本当は私たちの勘違いなのではないかと錯覚させた。

 読み方か、文字だからか、はたまた質素な最初から入っているアプリケーションだからか。

 手書きだったら、他の人が音読していれば。


 しかし不幸にも彼女はソウタを指名し、ソウタが棒読みをし、それはスマートフォンのメモアプリに打ち込まれていた。


 その明るさはまるで私たちを心配させない為の空元気であるように思えた。

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