エンディングになってもなにが変わるわけでもなく解決もない。人間って、世界って、そういうもの。主人公が成長なんてしなくていいし気持ちにケリをつけるきっかけなんていらないし主人公はただ雑木林にきてツグミのうたを聞けばよい。
美しい声で囀るクロツグミ。そんなクロツグミに負けないくらいの美声で、でも雑木林の中でひっそりと歌う彼女と主人公は出会います。しかし彼と彼女の出会いは、意外な展開を迎えることとなり──。歌うことが好きだと言った彼女は、本当は何を考えていたのか?重めのテーマですが、真摯に物語を語ろうとする筆致が素晴らしくマッチしています。読み手の数だけ結末があるような、そんな「考えさせられる」お話。是非この物語を読んで、あなたもいろいろと考えてみませんか? おすすめです。
挫折を味わっていた少年の前に現れたのは、楽しげに讃美歌を歌う少女でした。歌声に、また、幸福しかしらぬような姿に心惹かれた少年は、ある日、彼女に告白したのですが……青春の中にある儚さ暗さが透明感ある文章で淡々と綴られています。重いテーマですが、筆力のためか切なくも美しく感動的でした。すっと心にしみてくる、読ませる力がある短編です。おすすめです。
雑木林で出会った少女。鳥のように美しい歌声で歌う彼女に恋をします。序盤は綺麗な雰囲気です。後半、一転します。たまにはこういう終わりもいいでしょう。