終焉を迎える世界で、科学者は天使を拾う。

 「天が落ちてきた」という現象は、現実的で、実際的で、物質的なことだった。現在は天を天柱という柱で支えている。化学者である主人公は、そんな終焉間近の世界で、天使を拾った。天が落ちてきたから、天使も落ちてきた、ということらしい。主人公は天使に名をつけて、一緒に生活する。主人公は天使のことを調べれば、現在の終末を回避できるのではないかと思ったが、結果はいまいちだった。
 そんな中、世界ではこれまでとは違ったことが起こり始めた。この変化を嫌うように、主人公と天使は外の世界に出る。やがて訪れるであろう人類の終末。退廃的な空気に満ちた世界で、天使と科学者は何を感じるのか。

 「天が落ちる」という発想と、それに対するように科学者を主人公にしたこと、また「天が落ちるから天使も落ちる」という発想の流れに、魅了されました。

 是非、御一読下さい。

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