課金バトル

 「アァ?何言ってんだお前。」

 「無理無き課金。それが有るべき課金のカタチ。

 人を食い物にしてやるなど。作品への冒涜です。」

 「あぁ?俺は重課金53万¥のスーパー廃人サマだぞ?

 口答えの代償はどうなるか解ってんだろう………なッ!」

 背後に回り込んで回し蹴りを後頭部に見舞う。

 頭が吹きと……ばない?

 「重課金力53万ですか…」

 平然と俺の方を向いてやがる。コイツ…

 「私の重課金力は530万です。しかし、本気で戦いはしません。どうか矛を収めて下さい。」

 「530万?ふざけるな!たかが10倍!お前程度なら課金力抜きで勝てる!」

 両手両足フル稼働しての猛攻。しかし、そのどれもが右手小指で防がれてしまう。

 「10倍?あぁ、私の重課金力は530万……$です。」

 !ドル?つまり………$=100¥として…1000倍?

 いや!未だだ!コイツには重課金の覚悟が足りない。

 「お前には、何をしてでもするという覚悟が無いッ!オラァ!」

 足元の砂を掬っての目潰し。

 目を瞑る。

 喉に正拳突きを…止められた⁉

 「重課金する覚悟。

 面白いことを言いますよね。『課金は食事』とか、『課金は家賃迄』とか、『息を吸うように課金とか…』『グランドガーチャー』とか。

 課金はそれ即ち生きる事そのもの。呼吸とか食事とか家賃とか、そんなレベルで考えているようでは冠位には至れませんよ?」

 俺の正拳を掴んだままぶん投げやがった!

 体が無重力状態の様な、浮き上がる感覚が襲い掛かる。

 「全てを棄てる覚悟が有って、悪魔に魂を売ってやっと、冠位に至れるのです。

 あなた程度がおこがましいですよ。」

 空を飛ぶ俺の頭上から出現した重課金力530万$の猛者は俺に引導を渡した。



 俺、もう重課金止めるよ。

 ついていけない。



 真面目に働いて全世界の弱者に課金するよ。




 『世界への課金者』





 それが彼の未来の称号である。

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重課金したら一度はやってみたい事 黒銘菓短編集13弾 黒銘菓(クロメイカ/kuromeika) @kuromeika

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