怪盗の衣装




ブティックルブラン。



普通の服屋は表の顔。

しかし、裏の顔もある。

裏の顔。

それは、世界で唯一の怪盗専門の衣装屋である。












 「今日はどんなものをお探しで?」

 店主が声を掛ける。

 「近々大仕事をするんで、色々見ているんだが……、お薦めは?」

 「………仕事場は?」

 「高層ビルの最上階。」

 「仕事の方法は?」

 「荒っぽく行こうかと………。」

 「ならば………これは如何でしょう?」

 そう言って出して来たのはアルセーヌ=ルパンを彷彿とさせる黒いマントに夜会服にモノクル。

 「性能は?」

 「全アイテム共通で防弾性能。

 モノクルはサーモセンサーと暗視機能。

 夜会服のボタンには閃光弾と煙幕機能付き。ただし消耗品。

 マントには防弾以外に耐火、防水、耐熱加工も付いています。」


 「じゃぁそれを。

 幾らだ?」

 「298万円です。」

 「この宝石で良いか?」

 「『アインの血』ですか…本物と確認しました。

 手数料込みで320万円ですので22万円のお釣りを。」




 衣装を包んで貰い、釣りをもらい、俺は又、試着室に去っていった。















 ドガガガガガガガガガガガ!

 高層ビルの屋上。

手中には宝石。

周囲には銃で武装した男達。

部屋の中を逃げ回っていた。

幾つかの弾丸が当たるが、キンキンと弾が弾かれて痛くも痒くも無い。


パチン

ボタンを千切って投げつける。

プシュー……

煙が立ち込め、全員が視界を奪われる。


しかし、このモノクルを持つ者だけが動ける。

サーモセンサーが有れば人を避けて逃げることが出来る。


 サササササササササ


男達をすり抜けて仕事を終えることが出来た。

エルドラドの金水晶。ゲット。












この後、世間はその大怪盗に敬意を表し、彼の衣装を模した衣装を売り出した。

その最大手となったのは






「ブティックルブラン」だった。

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怪盗の衣装屋 黒銘菓短編集9弾 黒銘菓(クロメイカ/kuromeika) @kuromeika

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