別荘にて
ヒガシカド
1.
私たち家族は夏の休暇中、家族と別荘で過ごす。
こじんまりとした別荘を持つ人は多い。それがこの国の伝統なのだ。最近は減りつつあるようだが、私達は別荘で過ごす時間を大切にしている。
息子三人、娘四人、そして私と夫。世間的に見ても私達は大家族の部類に入るだろう。ゆえに、私達の別荘は他のものと比べると広大な敷地を有する。あまりにも広いので管理人を雇い定期的にメンテナンスを頼んでいるが、それでも清掃や管理の行き届かない部分もある。
「今回も掃除から始めるぞ!」
それゆえ、私達はここへ来るといつも別荘の清掃を第一に始めるのだ。子供たちは毎度不満げな表情を浮かべるが、掃除しない事にはどうしようもないのが理解できているので、道具を渡すとしぶしぶ清掃を始める。
私は一人、キッチンの汚れと戦っていた。夫や子供たちもそれぞれ散り散りになって掃除をしている。子供たちは年々成長していく、頼もしいことだ。今回私が担当するのはキッチンの清掃だった。見たところ皿や料理道具に破損は無さそうだが、全体的に埃や傷、それらによる汚れが目立つ。私は買い込んだ食料を運び込む前に、拭き掃除をしなくてはならなかった。
やっと拭き掃除を終えた頃には、日が傾き始めていた。子供たちや夫は自分のノルマを終えただろうか。私はまず、畑の手入れをしている次男のもとへ向かった。きっと彼が一番大変だろう。
畑で私を出迎えたのは、鎌を血まみれの頭に刺した息子の姿だった。
別荘にて ヒガシカド @nskadomsk
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