『おさむさんとゲリラ』

やましん(テンパー)

『おさむさんとゲリラ』

 【これは、すべて、妄想に基づくフィクションであり、お話も、登場人物も、動物さんも、この世とはまったく関係ありません。】



        🐶   🐶   😹



 2129年、『わんにゃん連合』が立ち上がり、人類に反旗を翻しました。


 『わんにゃん連合』と言っても、わんちゃん、にゃんこちゃん、だけなのではありません。


 最初の仲間は、人間の間近にいた彼らだったのですが、そのうち、地球上のあらゆる人間以外の生き物が参加しました。


 地球は、もう、いまは、かなり金星化が進んでいますが、21世紀における、地球環境保護運動も、結局は適度に押さえ込まれてしまいました。


 経済的利益の追及は、どうしても、ある階層の人類には不可欠だったからです。


 結局は、21世紀の後半には、超巨大資本となった、『カルタ・ファミリー』が現れて、世界を席巻し、だれも、逆らえなくなっていました。


 彼らの長が、歴代地球大統領に、なりました。


 『民主主義的独裁地球政権』の誕生です。


 大部分の各国は、その、支配下にありました。


 そこに、猛然と反逆したのが、『わんにゃん連合』だったのであります。


 一部の人間たちも、参加していましたが、リーダーがいったい誰なのかは、まったく謎でした。


 各国の情報機関は、リーダーの捜索と、その排除に、やっきになっていました。


 人間さんが、巧みにカモフラージュしていて、実は、ある動物さんがリーダーだ、なんて、誰も考えては、いなかったのです。



・・・・・・・・・・・🐶 🐈 🐅 



 おさむさんは、大して悪いことはしていません。


 ただ、しろとのくせに、21世紀初頭に出された、『環境保護』を推奨する本を、図書館で読もうとしただけです。


 おさむさんは、『保護』されました。


 おさむさんの、それこそ、たいしたこともない、全財産と、所有する住宅地(むかし、やましんという、まったく無名の、『お話し書き』さんが、すんでいたらしい…)を没収され、『病院』に、収容されました。


 潜在的反対分子を排除するとともに、少数人権派の攻撃をかわすため、勝手に病気にしてしまい、収容するのです。


 まあ、部屋自体は、いわゆる『違法フェイク・マスコミ』や、人権派などの、やっかいな介入も避けたいので、そう悪くはなかったのですが、合法的マスコミの取材とか、少数人権派議員の視察の時など以外は、たいした食事は出なくて、いいかげんに、ほったらかし監禁状態でした。


 そこに、あやしいお薬の処方も、行われていたようです。


 自分で死ぬのを、待っていたわけです。


 また、お部屋のお掃除なども、全部、患者が、自分でやっておりました。


 なかには、劣悪な環境のお部屋もあったのですが、おさむさんは、まだ入院したばかりなので、また、性格もきちんとした人でしたから、何にもないお部屋のなか自体は、まあ、良い方でした。


 しかし、実は、だんだんと、その、おかしなお薬が、処方されるらしいのですが・・・。


 ただ、もともと、おさむさんと共に住んでいた、ゲリラ、という名前のセントバーナードのわんちゃんと、いっしょにいることだけは、なぜか、許されておりました。


 たまたま、収容された、ここの院長先生が、無類のわんにゃん好きで、しかも割と良い人だったからです。


 監督官庁には『動物療法』である、と報告していたらしく、とくに、あまり、とやかくは言われてはいなかったようです。


 そこらあたりは、20世紀の軍事独裁政権とは、いささか異なる点でした。


 ただし、食べ物は、おさむさんの分から、分けなくてはなりません。


 もともと、死なない程度の、わずかしかない食事ですから、身体によい訳がありません。



 でも、ゲリラは、とても、利口なわんちゃんです。


 実は、人間の言葉も、ちゃんと理解していました。


 おさむさんの置かれた状況も、判っていたのです。


 だから、おさむさんが、ゲリラにあげようとしたご飯は、あまり食べませんでした。


 自分で、調達していたらしいのです。


 

 そうして、実は、全世界の『わんにゃん連合』に、指示を出していたのは、この、ゲリラくんだったのですが、おさむさんも、もちろん、まったく知りませんでした。


 人間にはなかなか見えない抜け穴が、病院の境界にあり、そこから、外部の工作ワンにゃんに、指示を伝え、情報を得ていたのです。


 わんにゃんたちは、協力者の人間とともに、独自の通信網を築いていました。


 そうして、少しずつ仲間を結集し、ある日、ついに、要塞みたいな、地球独裁者『カルタ・マグナ大統領』の官邸を、周到な計画により、攻撃します。


 ゲリラくんも、病院を抜け出して、参加していました。


 まさに、歴史に刻まれる、日だったのです。


 独裁者の弱点は、自分が倒されたら、おしまいなことです。


 彼らは、わんちゃんや、にゃんこちゃんや、わにさんや、アナコンダさんや、コブラさんや、さそりさんや、ゴリラさんや、ぞうさんや、パンダさんや、コアラさんや、ライオンさんや、オオカミさんや、きりんさんたちに、噛まれたり、ひっかかれたり、踏まれたり、食べられそうになり、ついに、最終的には、政権を放棄しました。



 とはいえ、その後の動物たちや、人類の道のりは、遠く険しいものでした。


 時期すでに遅し、だったのです。


 あ、おさむさんは、生きているうちにゲリラくんと共に、退院できましたとさ。



 このお話の続きは、またいつか。



 でも、いま、地球は、分厚い雲の中に埋もれています。


 聞いてくれる人も、もう、いないかもしれないなあ・・・・・




********** 🐶 🐩 🐍 🦂 😹 🐘 🐨 🐼 🌎  おしまい



 

 








 


 








 

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『おさむさんとゲリラ』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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