3人3色
太陽の光で目が覚めた。
時計を見ると、7時になっていた。
台所に行ってみる。
「あっ、ナギサちゃん、おはよー」
イリアがいた。本を読んでいるようだ。
「おはよー、早いね。」
「これでも遅い方だよ。いつもは5時ぐらいに起きてるし」
まじすか。普段寝坊ばかりしてる私と違ってイリアは真面目だ。世界って広いなぁ。
「リットは?」
「多分まだ寝てる。リットはいつも遅く起きてるからね。」
いつもなのか。
「ナギサちゃん、お茶飲む?」
「ありがとう。じゃあお願い。」
イリアがお茶を運んできてくれた。
「はいどぞー」
「ありがとう。」
その後、私はイリアと話をしていた。
「…実は私、親がいないって言ってたんだけど、親は2年前に亡くなったのよ。」
「えっ……」
「この王国で魔法戦争があってね、父さんも母さんも魔導士だったから行かされて……」
イリアは黙り込んだ。
「ごめんね。未だに信じられなくて。」
イリアはお茶を少し飲んだ後、話を続けた。
「ひとりぼっちでずっと泣いてた時、助けてくれたのがリットだったんだ。『大丈夫か?』って。あの時は本当に嬉しかった。」
シリアスな話の途中ですが失礼します。
リット王子様かよ!?何そのイケメンぶり!!普通はそんな事やろうと思っても出来ないよ!?同世代だからって……
これはあれだな。「乙女が恋するシチュエーション」ランキングで2位か3位くらいに入るな。うん。
「どうしたのナギサちゃん、メガネずれてるよ?」
「あっ、ごめん。」
読者の皆様、私の妄想が暴走してしまい本当に申し訳ありませんでした。
……本編に戻ろう…()
「それからリットはずっと私を支えてくれた。私にとってリットは、たった1人の大切な家族なんだ。」
「そうなんだね…」
一通り話を終えた後、リットが起きてきた。
「あっ、リット。おはよー。」
「おはよー、って僕だけ寝坊?」
「そうだねー」
さっきの話を聞いた後だと、この2人の仲の良さにも頷ける。
—————————————————
3人で朝食を済ませた後。
「よーし、じゃあ魔法講座やろっか」
「「はーい」」
昨日言っていた魔法講座を今日から始める。
人に何かを教えるのは初めてなので少し緊張する。
「僕たちも一応少しは魔法が使えるよ。僕は火の魔法、イリアは水の魔法。」
おお、頼もしい。
「私とリットは、この腕輪を付けることで魔力が付与されるの。だからこれを外すと魔法が使えなくなる。」
何それ便利。
「リットがフレイム系、イリアがアクア系、と。」
私の専門はダーク系なので、しっかり教えられるかは正直不安だ。
「じゃあまず2人のお手並み拝見ね。外へ出て。」
しばらく歩くと、丁度良さそうな広場を見つけた。ここなら人通りも少ないし大丈夫だろう。
「今からそこに人形を出すから、2人はその人形に向かって魔法を使って。」
「「おっけー」」
先攻はリット。
「食らえ、『バーニングショット』!!おりゃー!!」
リットの手から放たれた火炎弾は人形に向かって一直線で進む。
人形に触れると同時に、爆発音が鳴り響く。
「──!!!」
私は圧倒され、声が出なかった。
人形は見るも無残に焼け散っている。しかもまわりの地面も丸焦げだ。
「え………。」
「ふう……この魔法って意外と体力使うんだよねー」
駄目だ。こんな魔法を見た後にとてもじゃないけど私の魔法なんて披露出来ない。
気を取り直して次。
「じゃっ、次は私ねー」
イリアはアクア系なので威力は若干劣る。はず。
「いっくよー、『アクアビーム』!!」
嫌な予感がする。
先程と同じ要領で人形めがけ一直線。
ここからが驚きだった。
「『フリーズ』!!」
イリアの手から出た水がどんどん凍っていく。
そして、人形を氷で固めた。
「こうすればもう勝ち目はなくなるよー」
氷が割れると同時に、中身も割れていた。
これを対人でみるのは気が進まない。
「………」
「私たちはこんなもんだねー。」
どうしよう。この人たちミラルのレベルをとっくに超えてるよ。
「じゃあ、ナギサちゃんの魔法見せてよ」
うわー、プレッシャー……
とりあえずやる事にする。
「行くよ、『ブラックフィール』!!」
からの。
「『ダークホール』!!」
ダークホールは、相手を囲んで行動不能にさせる魔法だ。フォースより耐久力は弱いが魔力の消耗も少ない。
「おおー」
そしてトドメ。
「『ダークポイズン』!!」
ダークポイズンは敵に超猛毒な闇を浴びせる。超猛毒なのでほぼ即死だ。
「私はこんなところかなー」
人形は黒くなっている。まああれだけ闇を浴びせていれば無理もないだろう。
「さっすがー!やっぱその魔導書凄いよ!!」
「2人の魔法も凄かったよ。」
「そうかなあー。」
イリアは照れているようだ。
この2人に私が魔法を教える意味ある?
クロエの魔導書 雪見 @Aria1545
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。クロエの魔導書の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます