内容の割に評価が低すぎる。
火星の基地に宇宙船が墜落、生き残ったのは主人公ら二人だけ。主人公は負傷、埋もれた基地にはガレキが邪魔で入れず、通信不可、別の基地に行く手段なし、酸素は残りわずか。自分たちの命さえ危ないのに、基地に残された子供達を救わなければならない。こんな過酷なシチュエーションで面白くないわけはない。
ぎりっぎりの状況で、登場人物たちが何を選択するのか、その結果何が起こるのか。はらはらドキドキしながら読み切った。本格的な宇宙SFが好きな人向け。
シリーズものの一作なのだが、これだけ読んでも楽しめるのでぜひ。(そして自分と同じようにこのシリーズにハマればいい)
深刻化する地球温暖化と宇宙資源の獲得のため火星へと進出した未来。地球から火星へ物資を運ぶ惑星間輸送船〝昭和〟の謎の墜落と爆発により、アズプール基地は多数の死傷者と壊滅的な被害を受ける。未曾有の大惨事のなか、地下に閉じ込められた子供たちの決死の救出劇が始まる。
宇宙空間でのアクシデントを描くコズミックサスペンスです。主人公の技官・辻本雅樹は、元来なまけ者でプレッシャーに弱い、ごく普通の青年です。一方、ヒロインで医師の李美香は真面目で責任感が強く、なによりも命を大切にする女性です。
運良く生き残った二人だが、水も食料もなく、酸素も残り数時間しかない。さらに救助を求める子供たちがいる。雅樹は事態の重さから自力での解決を諦めてしまうが、美香はそんな弱気な彼の背中を押し、尻を叩き、怪我を手当し、救助のための行動とアイデアをひねり出させます。
逆境のときにこそ人の真価が問われる。最初は雅樹の投げやりな態度にイライラするかもしれませんが、逆境が次第に彼を磨きます。物語が進むごとに彼を見る目が変わることでしょう。絶体絶命の窮地で可能性を見出す人々たちの成長に注目です。
(「未知の惑星へ」4選/文=愛咲優詩)