今となってはこの物語に魅せられてしまったものの一人なのですが、私が初めてこの物語に出会った時は、そこまで魅力を感じませんでした。
今ならその理由がわかります。
それは、私が戦闘がメインで俺TUEEEEを全開にしているような物語を求めていたからです。
”力”が大きく生活に関わる世界観であるのに、主人公の並外れた力をもってして、ダイナミックな行動を起こさないことに疑問を感じていたわけです。
私と同じような感覚を抱いた方もいるのではないかと思います。
このカクヨムサイト内ではどうしても、強さや色恋と言ったものが強調されたお話が多いわけですから。
しかしながら、この物語の本質はそこではないのでしょう。
タイトルでも書いた通り、楽しむべきは、美しい異世界での平穏、料理、そしてつながり、もしくはその中での数々の驚きでしょう。
主人公の他とは隔絶した力を、「そこに使うのっ!!」という驚きを持って、ゆったりとした心持ちで楽しんでいただきたいと思います。
作者様、この素晴らしい世界を創っていただいたことに感謝です。
応援しています。
主人公のアンバランス感とそれによってチートが周囲にばれるときのちらかったかんじが好きです。
あと、レッツェ。レッツェがよい。最初さほどだったのにどんどん存在感をましてく。その増し方がよいです。
ちなみに個人的に小説上のレシピ表現には(この作品に限らず)一切魅かれないので、そこはぜんぶ飛ばしてます(その字数を正直ストーリーにまわしてほしい。でもこれは作者が好きなことのようなので仕方ないですね)。
こういう日常系の話の場合、着地点があまり見えないので、作者のなかで現段階でゴールが設定されているのかわかりませんが、しっかり完結にしてくれると嬉しいですね。今後も更新を楽しみにしてます。
本作の主人公は元の世界での不遇から「自由気まま」であることを望み、異世界転移直後の無人島生活の経験から「快適な生活」を重視しており、観光のためにあちこちを飛び回って、精霊や王権を司る精霊樹の枝等の特別なものを集めたり、一段も二段も上の生活環境を整えるために、トイレの配管に始まって、冷暖房の魔道具を作ったりとやりたい放題です。
ですが、やりたい放題の中に他者への蔑みや優越感を持った視線がなく、それでいて自身への劣等感で鬱々とした感情もない、生活そのものを楽しむスタイルがとても清々しく、同時に振り回される周りの大人達が胃を痛めつつも、主人公への思いやりがちゃんとある姿勢がとても楽しい作品です。
冒険者としての生活、南国の小島の領主としての生活、人気のない精霊からもらったチートハウスでの生活、そのすべてで楽しく生きる主人公の活躍をこれからも楽しみにしております。
読み始めたときは文章の稚拙さが目立って読みづらいと感じていましたが、レビュー評価が高かったので読み続けてみれば少しずつ洗練されていき、いつの間にか読みづらさはなくなっていました。
内容も、言ってみればよくある「俺tueee・あれ、俺なんかやっちゃいました?・飯テロ」ものなのだけど、他の作品と違って鼻白むことなく読み続けられます。
なぜだろうかと考えてみて、思い当たることは「敬意」ですね。
他の俺tueeeはだいたいが元の世界至上主義で、主人公がすべてを見下しているのが透けて見えてつまらないんですよね。
この作品の主人公は元の世界の衛生観や食にはこだわっていますが、新しい世界の人やモノにも敬意を持って接しています。
だから対等な友人ができたし、気持ち悪いハーレム展開もない。
とても良い作品です。
ひとつ注意があるとすれば、レッツェというツッコミ役が出てきたあたりからの話は電車など人前で読むのはやめましょう。
笑ってしまって変な目で見られてしまいます。