好きだけど…

おそらく意図的なのだろうか、説明があまりにも少ない。しかし説明不足が文体の味にもなっている。一人称の当人がわかることだけが、主観の範囲内で説明されている。異世界ものはどうしても世界観や道具立てにおいて、作者と読者が共有しているものの量があまりにも少ない。それが特有の読みづらさにもつながっている。だからこの作品を読むとき、分からないものは分からないままでいいという割り切りが必要だと思う。そこさえクリアできれば作品世界に耽溺できるはず。