三択(二択)の思考(ガチ)実験
おじいさんか女子高生か。
犯罪的であるか否かの面で見るのならば選ばれるのは当然前者である。
何せ後者は足をコンクリ詰めにされているし、何なら銃らしきものを装備している。それに引き換え前者はただセーラー服を着たおじいさんである。
合理性という面で見るのならば選ばれるのは当然後者である。
何せ前者は白髪や白髭を蓄えた老齢の男性であり、一体今後何年生きられるかどうかという見た目をしている。それに引き換え後者はコンクリ詰めにされてはいるものの、私と同世代である。
今後六十年近くは生きて行くことの出来る若者なのである。労働力としての寿命が長い後者が選ばれて当然である。また子供を産むことの出来る女性ということもある。
人道的であるか否かの面で見るのならば、どちらかを選ぶということが禁忌である。
命は本質的な価値など存在していない、という随分ときれいごとを宣うのが人道なのである。……まあ、命だけでは、人も猿も犬も虫も等しいのだから的を得た言葉であるのだろうが。
では私の感情的な面で見るのならば、選ばれるのはたぶん前者だ。
何せ後者はとても怖い。今なお何らかのものに対して罵倒を繰り返し、下手をすればその手に持っている銃で私のことを撃って来るんじゃないのだろうか。と思わせるのである。
ふぅ。
けれどこれは、どこまで行っても所詮は心理テストなのだ。凄まじくリアリティのある心理テストなだけで、そこにいる男女は人間であるかも訝しい存在である。
だからこそ、深く考え込む必要もなかったのかもしれない。
結局のところ正解なんて存在しない。――見るからに不正解は確定しているが――だからこそどちらかを救うだけで良い。
ため息を吐き、私は無心になった。
なればこそ。
私は――――を助けたのである。
そうして私は気付けば、広大な草原のど真ん中。
女の子になって突っ立っていたのである。
セーラー服おじいさんとヤクザJKとスク水おじさんの、誰を救えばいいのでしょうか 酸味 @nattou
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