精力変身マラチンマン(せいりきへんしんまらちんまん)

@dekai3

第1919話 弄ばれたホトヴァーギナン!!

前回のまらすじ

『産卵シーズンで無いのにも関わらず海を白く染め上げたメガニシンを説得し、無駄撃ちを控えるよう改心賢者タイムさせたマラチンマン。しかし、一コキ付いて浜辺に戻って来た所にホトヴァーギナンからの不意打ちのニョースプラッシュが飛びかかる。どうなる!?マラチンマン!!?』











「フェラッ!!」


ズゥン


 側面から飛びかかったニョースプラッシュを済んでの所で飛び退いて避けるマラチンマン。

 ホトヴァーギナンは忌々しそうにマラチンマンを見つめながらアルダ・チャクラ・アーサナのポーズを止めて起き上がり、手から垂れるニョースプラッシュの残滓の雫を無造作に払った。

 彼女は体全体でマラチンマンへの怒りを顕わにしており、夕飯を用意しておいたのに連絡無しで外食してきたかつての旦那に向けた目と同じ目をしている。

 絶対に許すことは出来ない。そういう目だ。


「フェラッ!フェッフェラッ!!」


 マラチンマンはホトヴァーギナンへと問いかける。

 一体どうして自分を攻撃したのか。前々から性獣との戦いに横槍を入れてきたのは何故なのか。聞きたい事は沢山ある。


「ヴァッ!!」


ズンッ!ズンッ!ズンッ!


 しかし、ホトヴァーギナンはマラチンマンの問いに答えず逆にうるさいと言わんばかりに叫び、大きく足音を立てながらマラチンマンへと近付いて腕を振り上げる。


「ヴァッ!!ギッ!!」


ブォン!ブンッ!


 そしてヴィーラバドラー・サナの型でマラチンマンを攻撃する。

 一見ゆっくりに見える動きだが英雄の型を模しているだけ合って無駄が無く、重心がしっかりとした打撃だ。ヨガ教室に通っているのは自分磨きの為だけではない。


「フェ、フェラァ!!」


ガシン!ガシン!


 マラチンマンは腕を交差してホトヴァーギナンの攻撃に耐える。

 マラチンマンは分かっているのだ。こういう時に下手に反撃や反論をすると世間から悪者にされてしまうという事を。どれだけ世間に貢献していようがたった一つの不祥事で今までの頑張りが覆される事を。

 ヒーローとはイメージ商売だ。決して感情的にはなってはいけない。冷静に証拠だけを集めてから弁護士に依頼しよう。


「ヴァギ!!ヴァギッ!!」


 防御を固めるマラチンマンに執拗に攻撃を繰り返すホトヴァーギナン。

 ただ殴るだけでは埒が明かない事を段々と分かってきたのか、ホトヴァーギナンはマラチンマンの股間の防護スキンが全方位な事や、それに伴う不清潔な事を罵って心にもダメージを与える。

 マラチンマンはそれに必死に耐えながら、無事に帰れたら一段階上の男になる為の手術を受けようかどうかを悩む。流石にこの大きさでは保険適応外だろうから貯金が足りるかどうかも心配だ。


「フェラァッ!!」

「ヴァギッ!?」


 だが、マラチンマンもいつまでも攻撃に耐えているだけではない。

 ホトヴァーギナンの口撃が緩んだその瞬間に、ホトヴァーギナンのロータスマントラからザリガニが入っていた水槽を数日放置した時の様な臭いがする事を指摘する。

 ホトヴァーギナンは自分の臭いには気付いていなかったのか、マラチンマンの指摘に思わず手を止め、先程払ったはずのニョースプラッシュの残り香を嗅ぐ。


「ヴォエ"ッ!!」


 臭かったらしい。


「フェラァ…」


 思ったよりも指摘に効果があった事と、臭いを嗅いでえずくホトヴァーギナンを心配し、先程のニョースプラッシュを見ていないのに避けれたのもこの臭いがあったからだと説明するマラチンマン。そして心配なら専門医に相談すべきだとも伝える。

 ホトヴァーギナンも保険適応外かもしれないが、それでも専門医にかかれば症状を抑える事は可能かもしれない。


「ヴァギッ!!!」

「フェラァ!!」


バシィィィン!! ズゥン!!


 ショックで俯く姿に思わず手を差し伸べたマラチンマンだったが、ホトヴァーギナンはそれを勢いよく払う。

 そして未だえずいて涙目になりながらも上体を起こし、胸部に手を当ててよろけたマラチンマンへと向ける。


「ヴァッ!!」


 ピュッピュ!!ピュッピュ!!


 ホトヴァーギナンの胸部先端から出る、ボ・ニューム光線がマラチンマンを襲う。


「フェラッ!!」


 ゴロン! ゴロン!


 マラチンマンは今度はよろけた体制のまま転がることでボ・ニューム光線を避けた。格好悪くみっともない避け方だが、常に格好良い姿だけがヒーローでは無い。

 ホトヴァーギナンはまたも必殺の攻撃を避けられた事に腹を立てながら、何度も搾るようにボ・ニューム光線を飛ばす。

 だが、それは連続して転がるマラチンマンに避けられるだけだった。


「ヴァ…ヴァ!!?」


 やがて勢いもなくなり撃ち止めになるボ・ニューム光線。

 暫くは栄養を取って休まないと装填されないだろう。


「フェラ!フェフェラ!!」


 それを見たマラチンマンは「もう止めよう」とばかりに腕を広げて敵意が無い事を示しながらホトヴァーギナンに近付く。

 お互いに性獣ではなく意思のある者同士なのだ。戦うのではなく話し合いで解決をしようと呼びかける。

 マラチンマンは避け続けるだけでもイメージが下がる事を恐れている。なるべく早くスマートにこの問題を解決させたい。


「ヴァギ……ナッ!!」


 しかし、そのマラチンマンの動きが余裕さのアピールに見え、ホトヴァーギナンは落ち着くどころか更に激高する。

 一旦火の付いたホトヴァーギナンの熱量を冷ますには話し合いではなく、時間を置くことが必要なのだ。マラチンマンは耐えるべきではなく退くべきだったのだ。


「ヴァ…ヴァ…ヴァ…ヴァ…」


 ホトヴァーギナンは再度アルダ・チャクラ・アーサナのポーズを取り、両手をロータスマントラに添える。

 今度はニョースプラッシュでは無くホトヴァーギナン最強の技のソルトエミットを繰り出すつもりだ。


「フェ!!?」


 マラチンマンは焦る。

 ホトヴァーギナンのソルトエミットは自身の最強技のスペルムシュートの何倍もの威力を持っており迂闊に受け止めることは出来ない。

 かと言って避けるのも駄目だ。自分の後にあるのは海だけだが、強力なソルトエミットが海に飛散するのは海中や近隣の沿岸部に影響が出るだろう。


「フェ………ラァ!!!」


ズンッ!ズンッ!


 マラチンマンは覚悟を決め、ホトヴァーギナンのソルトエミトを迎え撃つ為に両足をしっかりと地に着けた。

 そして両手でチンロッドを握りエネルギー充填の為に前後に動かす。


「ヴァ…ヴァ…ヴァ…ヴァ…」

「フェ…フェ…フェ…フェ…」


 お互いに最強の技を繰り出す為のフェアプレイをするマラチンマンとホトヴァーギナン。

 体格も性別も違うのに、奇しくも最強の技の準備段階は似ている。これは偶然なのか。


「ヴァ…ヴァ…ヴァギッ!!ギギッ!!」


プシー!!シャー!!!


 先に飛び出たのはホトヴァーギナンのソルトエミットだった。

 弧を描くように飛ぶそれは太陽の光を受けて虹色に輝く。


「フェー!フェー! ……フェラァ!!」


ビュルル!!


 ソルトエミットがマラチンマンに飛びかかる直前にマラチンマンもスペルムシュートを放つ。

 スペルムシュートは全ての元となる無垢な白の軌跡を描く。


ビチャアアァァァ!! ボタッボタタ


「フェッラァ!!」


 マラチンマンの目論見は上手くいった。ホトヴァーギナンのソルトエミットにスペルムシュートを合わせる事で勢いを相殺させたのだ。

 だが、スペルムシュートとソルトエミットではその量が違う。


「ヴァ!!ギギギィッ!!」


シャー!!シャー!!シャー!!


 第一波の相殺には成功したがホトヴァーギナンのソルトエミットは次から次へと飛び出てくる。

 マラチンマンのスペルムシュートは一発一発の量も少なく、同じ刺激には弱いので次弾へのインターバルが必要だ。

 だが、ここでマラチンマンは左手を左胸部へと動かし、先端を摘む。


「ファラァァアア!!!???」


ビュルルルルルル!!! ビチャァ ボタッボタッ


 先程より多くのスペルムシュートが飛び出てソルトエミットを相殺する。

 これはスペルムシュート・TK2。かつての仲間が行っていた、チンロッドと胸部先端の両方に力を込めて放つスペルムシュートだ。

 マラチンマンはこの方法を行うのは初めてだったが、思ったより適正が合ったようで沢山出た。掛け声が若干疑問系だったのも驚きによる物だ。


「ヴァ!!ヴァヴァ!!アァン!!」


シャー!!プシャー!!!


 だが、ホトヴァーギナンのソルトエミットはまだ終わらない。

 マラチンマンは覚悟を決め、左手の爪を立てて胸部先端を潰さんばかりの力を込める。


「ヴァーーーー!!!」


プシャーーーーー!!!!


「ラァーーーー!!!」


ビュルルルルルゥ!!!


 三度空中で交わる虹色に輝くソルトエミットと白い軌跡のスペルムシュート。

 二つがぶつかり合った時の衝撃と破壊力はとてつもないが、見る者によっては神聖な物にも見えた。


ビチャァ ビチャビチャ ボトッ ボトボトボト


「ヴァ…ヴァ…」

「フェ…フェ…」


 必殺技を撃ち合い、お互いに肩で息をするマラチンマンとホトヴァーギナン。

 両者ともエネルギーを消費しており、マラータママーとニップルライトが点滅している。


「フェラ…」


 先にマラチンマンが動いた。左の胸部先端から血を流しており、精も魂も出し尽くしてはいるが彼はヒーローだ。

 優しい言葉をかけ、ホトヴァーギナンへ手を差し出す。


「ヴァギ…」


 ホトヴァーギナンも疲れ果てて冷静になったのか、起き上がって今度はその差し伸べられた手を取ろうとする。


 その時だ。


ブリュリュリュリュリュリュリュプスー


 上空から二人に向けて茶黒い泥が降り注いだ。


「フェラァ!」


 匂いに敏感なマラチンマンは咄嗟にホトヴァーギナンを抱えて横へと飛びのく。迂闊にレディに障るのはセクハラだと取られかねないが緊急時ゆえ仕方ない。これで民事を起こされたとしても世間は分かってくれるはずだ。


「フェ…!!!」

「ヴァ、ヴァギ!!?」


 だが、マラチンマンは避けきれずに脚に泥を被ってしまった。

 ホトヴァーギナンは先程まで戦っていたのに助けられた自分と、自分のせいで怪我を負ったマラチンマンを見て、混乱の余り声を上げる。


「ジェッジェッジェッジェッジェッ」


 そんな二人の様子が滑稽に見えるのか、泥が降り注いだ先からは下品な笑い声が聞こえた。

 男とも女とも付かない。独特の声だ。


「フェ…ラ…」

「ヴァ!ヴァギ!?」


 そこに居るのはマラチンマンともホトヴァーギナンとも違う存在。

 背中には羽が生えており、胸部はなだらかでニップルライトは無い。そして股間にはチンロッドもマラータママーも無ければロータスマントラも無い。何も無いのだ。


「ジェッ」

「ヴァギ!!ヴァギ!!」


 その何も無い存在エイジェンダーと言い合いをするホトヴァーギナン。

 何も無い存在エイジェンダーはマラチンマンのトドメを刺す様にホトヴァーギナンへと指示を出すが、ホトヴァーギナンは自分を助けたマラチンマンを本当に倒していいのか、何かの間違いなんじゃないのかと叫ぶ。

 そして、先程の攻撃は何故自分を巻き込んだのか。あなたも私と同じフィメールではなかったのかと問う。

 それに対して何も無い存在エイジェンダーは何も答えず、ただ悠然と臀部に手をやって先程の泥を手に持ち、それを二人目掛けて投げつけてきた。











自慰回予告

『マラチンマンとホトヴァーギナンの決着が付いた後に現れた謎の生命体。それはホトヴァーギナンを騙してマラチンマンと戦わせた張本人であり、二人が弱った所を纏めて始末するのが目的であった。ホトヴァーギナンは自分が騙されていた事を知り、今までの償いとばかりに自分の力をマラチンマンへと与える。謎の生命体からの攻撃で瀕死に陥っていたマラチンマンはホトヴァーギナンの力を吸収し、マラチンマン・フターナリーへと進化した。奇しくもその姿は謎の存在と真反対になる姿であり、マラチンマンやホトヴァーギナンのルーツへと繋がる姿でもあった。

自慰回、精力変身マラチンマン1920話。「第三の性 vs 零の性」お楽しみに!!』

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