ちょっと変わり種のラブストーリーよ! 弁当を十回食べさせると好きな男をものにできる。そんな世紀末なルールが横行する学園で中流家庭生まれの主人公が勝ち組になるため弁当片手に奔放する話よ。手間と隙とあらゆる欲望とちょっとのお金が詰まった弁当の行方とは? 気になるわよね。
学園に君臨する王子達「ファイブプリンス」や最大の難敵美女軍団「セブンシスターズ」など、様々な人物が文字列狭しと出てくるけど、やっぱり頭一つ目立つのは主人公、美園ちゃんね。持ち前の料理スキルの高さと運動神経を生かし、弁当お届けレースを独走するわ。そう、主人公は狼。高嶺の獅子を撃ち落とさんとす、孤高の獣なのよ!
それを暖かく優しく見守る幼馴染はさながら忠犬のよう。ハチ公系男子、嫌いじゃないわ!
そして、彼女たちを繋ぐ弁当の描写こそ、この作品の最大の見どころよ。料理のレパートリーの多さも加えて、レシピ本にでもなりそうな丁寧の描写は間違いなく作者の趣味よ。あまりにも美味しそうだからスマホごとかじりついちゃったのはみんなとアテクシの秘密よ
イケメンに弁当を食べてもらうために、昼休みの学校を女子が疾走する、将来の婚約のために、と纏めると、ドタバタ劇になってしまいますが、それに収まらない勢いがある物語です。
主人公の一人称で進む物語は珍しくないし、その文章が感情的であるのも珍しくはないのですが、そこにある感情の揺れ幅が他に見た事がない程の激しさでした。
その勢いに引きつけられます。設定やストーリーも、ひとつひとつ見ていくと粗も、共感できない、理解できない事もあるのですが、それを全て些末な事だと断じられる程の、文字通り剛よく柔を制す文体が躍りかかってきます。
作中で語られる「女子たるもの、野獣であれ」という言葉、まさに物語の全てを表していると思います。
好きな人にお弁当を届けるという一風変わったラブコメです。
と書きたいところですが、実際はとんでもないアイデアに溢れた、まさに突き抜けた作品でした。
リアルシンデレラという言葉の通り、主人公はハイクラスの男子をゲットする為にお弁当レースに奔走します。
しかし、当然ながらライバルも多く、昼休みはまさに戦場となっていき、リアルな女子のバトルが繰り広げられていきます。
ただ、その中身はよくあるドタバタ劇ではありません。手の込んだ設定をベースに、揺れ動く心情もきちんと描かれている為、毎回読んでいて飽きがきませんでした。
果たして、無事に憧れの男子をゲットできるのか。
お弁当に込められた、突き抜けたリアルシンデレラストーリー。
結末をぜひ、皆さまの目で確かめてください!