第1話 その時の俺は真っ白な景色を何気なく眺めていた

冬は嫌いだ。寒いし、手や足が悴む。そして何よりリア充が増える。どこから湧いたか知らんが何故そんなに増える?普段なら唾の一つでも吹き飛ばすところだがこうも多いと俺の唾がもたないのでやめておいてやった。11月下旬、年々よりも早く降り積もる雪に俺はうんざりしていた。あたりを真っ白に染める雪、そんな雪を見ながら何事もなく終わり行く俺の高校最後の冬に少し寂しさを感じた。

「あー彼女欲しー」

気がつけばそんなことを口ずさんでいた。

俺、白井白兎が住んでいる場所は田舎だ。だが、「the、田舎」ってほど田舎でもない。都会の建物なども何件か立ち並ぶ。だが所詮は田舎、年中リア充だらけという訳では無い。夏休みは都会に出る人も多いので都会に用がないに冬にリア充が増える。

そんないかにも彼女がいない男子高校生が考えそうなことを考えながら学校に行く支度をし家を出る。玄関を開けると一面に広がる雪景色にため息を着いた。

「さっさと解けねーかなー」

そんな事を考えながら家を出た。

「おはよう!白兎くん」

いつも通りの声がした。俺の前に立っているこの女は幼なじみの立花色菜だ。家から出て最初に出会う人はいつも決まってこいつだ。「おめーさっき彼女欲しいとか言ってたじゃないか」と思ったかもしれんがこいつとは幼なじみであって彼女では無い。意識したことがないかと言われたら無いことも無いが今は無い。というか皆無だ。

いつも通り、昨日の宿題の話などたわいのない話をして登校をしていた。

しかし、そんなたわいのない朝がこの日から少しずつ変わっていくなどとはその時の俺は考えもしなかった。

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あなたとの日々は雪どけのように甘く少し切ない 新道 @ruirui0802

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