ア行 第2話 現人神
彼が再び
「貴様のミソは味がせぬ。即ち価値がない。
と。
少しばかり
「何者であるか。
「我は、
しかし、彼は透かさずこう言った。
「神はただ一人、イエス・キリストのみである。また神であるなら、個人の人間に文句など言わず、教訓を説くはずである。
「誰が、神は文句を言わぬ等という噂を
「我はな、神性からか、下手物に惹かれるのだよ。禍福に同じく、
「日本の神が使い慣れぬ外来語を使うなど、仰々しく滑稽極まりない。その点で君は既に烏滸だ」
「
有無を言わさず続ける。
「最早貴様は遅きに失したものしか持ち合わせておらん。
「私は他人の成功に力を貸しているつもりはない。……今は、仕方なく
彼は反抗的な目をして言った。
しかし現人神は
「良いか? 多くの失敗は、往々にして一つの成功を際立てるものである。貴様はその
「…………」
彼は黙り込んだ。
「
「それは出来ぬ。まず私は君が現人神だという事を信じていない。そして、神はイエス・キリストのみだ」
すると、現人神は手を後ろに回し、湯呑みを取り出した。
「ほれ、
「人を物で釣るな。祈願もしていない上、自ら『霊験灼か』と豪語する神等いないだろう。それに、これは他教の飲み物だ」
前をみると、現人神はもう後ろを向いていた。
「甘茶は置いていくが、
そう言い残し、現人神は森の方へ帰っていった。「自己に対して天子に遣うような言葉を遣うとは、随分なご身分だな」とか言ってやりたいが、口は
ふと気がつくと、
語彙試し! 千木束 文万 @amaju
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