第3話 目覚め

「はっ!!!......私...生きてる?」


辺りを見渡しても何も変わらないいつもの部屋。窓からは太陽の光が差し込み、外から朝の訪れを告げる鐘の音が鳴り響く。


「夢....だったのね....はぁぁぁ。」


力無くベットの上で突っ伏す。

額や寝巻きに浮かぶ汗から尋常の出来事ではなかったことが容易に分かった。

それもその筈あれは紛れもない"悪夢"だった。

今思い返すだけでもぞっとする。


「本当に最悪の目覚めだわ。今日の門出にはふさわしくない夢。もっとこう、神様や天使様が夢の中から祝福!!みたいな晴れやかなものを期待していたのになぁ。」


私は正直人一倍信仰心は高いと自負している。おこがましいからもしれない。

神様や天使様からしたら一人の信仰心に感けている時間はないのだから。


「そういえば教会の鐘が鳴ってる....つまり今は8時?....はっ!!卒業式に遅刻しちゃう!!」


だけど私は貫き通したい。

彼ら彼女達が守ってくれたこの命を。

何かの使命だと。


私はベットから飛び起き、急いで身支度をする。何時もの制服に着替え、長い金髪を髪留めで留める。

鏡の前で顔に少し化粧を施し、完成。


「やっぱり私って美少女よね!って言ったら叱られちゃいそう。でも少しくらい自信もってもいいよね?」


身支度も済ませ、出ていこうとすると肝心な日課を忘れていた。


「いけない!お祈りを捧げ忘れたわ!!でももう時間がないし.....いいえ、少しでもいいから捧げていきましょ。」


手提げ鞄を床に置き、礼拝台の前に跪く。

台の上には綺麗な白像。"救済者マリア・トラブスカ様"。

私の信奉する"聖女の導き"の始祖。

かなり前、恐らく300年以上前の人物。魔の物達が跋扈していた時代に彼女と12人の従者によって災厄が取り除かれた伝説が由来。

凄いのは彼らを束ねていたマリア様はまだ20歳だったということ、私より僅か2つ程しか変わらないお方。しかもかなりの美少女だったとか。


「天上におはします私達のマリア様、貴方の導きが今日もありますように。」


「さて、いつものお祈りも終わったことだし、早く行きますか。」

お祈りを済ませ、立とうとしたその瞬間。

ガタッ!!

何が動いたような音を聞いた。

「今...動かなかったかしら?...気のせい..よね? それよりも急がなくちゃ!!」

さっきの不審な音に後ろ髪を引かれつつも卒業式に参加するために部屋を出る。

「では、行ってきますね!マリア様。」

(って返事はないよね。)

私は寄宿舎を出た。



「貴女は何があっても私が護るわ。"私のマリア"」


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少女聖戦物語 グレースバーク・ヘンドリック @GreathbergHendrick90

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