姉さんに夜中の3時に電話でたたき起こされよくわかんない話をされた弟の怒り

竜田川高架線

ただし顔とおっぱいだけは良い

 ある夏の日 夜中の3時

 マジで夜中の3時

 突然姉さんから電話があった。うるさい着信音で目覚めて、いったい何事かと思いながら電話に出てみたら、まず最初に言われた言葉。

「爺さんが乗ってる車なんだっけ!?」

 は?

 いやまあ、爺さんが乗る車はメルセデス・ベンツ「GLA AMG」という立派な高級車であり360馬力を叩き出すDCT搭載のやべえ車ではある。その金を我が家に恵んでほしいほどだがそれはまた置いといて、この謎姉の話である。

 なぜこんなことを聞いてきたか。

 いま、飲み屋にいて、そして隣にはマセラティに乗っているオッサンが居るらしいのだ。

 話の流れ的には

姉「うちの爺さんもスポーツカー乗ってるんだよ!!」

マ「まじで? 何の車??」

姉「わかんない!! 弟に聞いてみる!!」

 だと容易に想像できる。

 うん、このマセラティのおっちゃんとはそれなりに付き合いがあって、仲がいいのは理解している。

 姉はキャバ嬢で、店のお客さんとしてマセラティのおっさんと知り合ったとかなんとか。

 わかる。大事なお客さんだからね。

 わかる。それはわかる。話の流れ途切れさせたくないというのは非常にわかる。



  だ か ら と 言 っ て 夜 中 に 弟 を 起 こ す な



 で、なんだ次は。



「あとさあ!! おまえさあ!!」

 今度はなんだ。

「おまえのさあ!! 味噌汁さあ!!」

 前提として

 その前日、実は人生で初めて弟は味噌汁を自分で作ったのである。それをツイッターにあげて実況と自慢大会をしていたわけだ。

 加えて



  弟 の ツ イ ッ タ ー は 姉 に 監 視 さ れ て い る



 ちなみに、具はわかめ、ねぎ、とうふである。



「わかめとねぎ一緒に入れてんじゃねえよ!! ねぎが! わかめのミネラル吸っちゃうから!! 一緒に入れたらだめなんだよ!!」

 居酒屋でしかも酔っぱらってるからやたらと声がでかかったのだけは覚えている。

 それに何気にためになる情報だ。

 だが、それを、夜中の3時にする必要があるのだろうか。

 夜中の3時にする必要があるのだろうか。

 夜中の3時にする必要があるのだろうか。



 なんなんだまじで

 こっちは気持ちよく寝てたのに

 夜中の3時にたたき起こされ?? 心底どうでもいい、どうせ酔っ払いだから明日には忘れているであろう祖父が所有している車の車種を聞かれ?? それで、なんですか今度は、味噌汁のうんちくですか???

 睡眠を返せ!! ああもう!! あのキャバ嬢姉!! ああああああ!!!



 †



 補遺



 うちのキャバ嬢姉 顔とおっぱいだけは良い

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

姉さんに夜中の3時に電話でたたき起こされよくわかんない話をされた弟の怒り 竜田川高架線 @koukasen

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ