周りにチートしか居ないのは、何故ですか！？

第１話、転校生

　ざわざわとしたいつものホームルーム。

　いつものように、有栖川（アリスガワ）と小鳥遊（タカナシ）は駄弁ってるし、イケメン二人……瀬戸（セト）と神谷（カミヤ）は女子から圧倒的に視線を独占しているし……委員長である私、田所（タドコロ） 笑真（エマ）はやや苦笑しつつ、いつもと少し様子が違いそわそわしている担任に目を向けた。

　そして、いつもの様に健康確認などが終わると、何やら廊下に出て行った。

　戻って来た担任の後ろには、ピンクブラウンで肩ぐらいまで伸ばした髪を、黄色のシュシュで二つに結んでいて、綺麗な栗色の瞳のやや背の低めの女の子かいた。

（ああ……転校生か）私はそう思いつつ、クラスの全員の注目を浴びている女の子に目を向けた。

「静岡県にある、水鏡（スイキョウ）市の私立水面（ミナモ）女学院から転校生してキタ、水無（ミズナシ） 夢愛（ユメア）です。これからこのクラスになるノデ、よろしくお願いしマス」

　緊張しているのか、ややカタコトになっている女の子＿＿水無さんは、軽く自己紹介をした。

　そりゃあそうだろう。

　このクラスは、超イケメンや有名天才女優、人気歌手、美人タレント、ネットで話題の動画投稿者など、有名人や天才が集まった……まさにチートのクラスだからだ。

　それにしても、気になったのは水無さんの『静岡県 水鏡市 水面女学院』だ。彼女の通っていた学院は先日、とある事件がきっかけで数ヶ月、通えない状態になり、水鏡市といえば最近放火事件があった所だ。

（彼女は、かなりの不幸人間なのだろうな）私が最初に彼女に抱いた感想は、これだった。