第6話  保護センター






惑星開拓が始まった当初の環境破壊行為は数世紀を経て人類に返って来た。







その反動は災害と言うにはあまりに破滅的であった。




巨大な都市1つを丸ごと一晩で破壊してしまうような大災害が毎年毎年襲い復旧復興する間もなく襲い掛かる。




人類文明など自然の前にはあまりにはかないものであることをいやと言うほど想い知らされた。




環境破壊のツケはその行為で得られる利益よりも何億倍も高く付くことを改めて認識し今現在の地球を中心とした環境保全、生物多様性の保護は共通の認識となっている。



地球ではすべての森林は政府の管理下に置かれて勝手な伐採は禁止されていた。




学生達の受けている教育も環境保全は当然普遍的な当たり前の常識となっている。








だがこれらの認識は地球を中心としたその周辺だけのもので辺境にまでは広がっていなかった。



最辺境にあるこの惑星も他の例にもれず環境保全など二の次三の次であった。







今、まさに足元で行われている動物たちへの殺戮現場を目の当たりにして学生達は激しいショックを受け、憤りと吐き気を覚えた。



特に女性達の中には目を被い泣き出してブリッジを飛び出してしまう者もいた。







学芸員やオペレーターはそれを見て「こんなことくらいでショックを受けるとは?なんてヘナチョコなんだ?!」と内心思ったがあまり印象を悪くしても良くないと思い直し、すぐにコンバインを出て次の目的地へ向かうことにした。




学芸員はこのままこの星の評判を悪くしてはいけないと思い野生動物を収容している保護センターに向かうことにした。




すっかり元気を無くして黙ってしまった学生達を乗せたヘリは再び成層圏付近まで上昇し山脈の多い地方にやって来た。






山に囲まれた盆地の中にある保護センターに到着した。





センターといってもプレハブ造りの建物である。





事務所に案内された一行はモニターに映る動物たちを眺めた。





ほとんど人はおらずここでも一人がモニターのチェックをしているだけであった。










鳥類、哺乳類にはナノマシンが投与されていて各個体はAIによって居場所、体温、血圧、心拍等が管理されていて異常状態のものはモニターに出されて適切な処置を施すように指示が出されていた。




ナノマシンはわざわざ一体一体人の手で投与するのではなくエサや自然交配でも伝播出来るようになっている。



ある程度の異状はナノマシンによってコントロール出来るようになっていてほとんど人の手がかからないようになっていた。

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宇宙開拓史 ー悪人伝ー テツロー @tetsuro0

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