第5話 コンバイン
博物館ではいくら見て回っても良い話ししか聞くことは出来ず学生達は飽きてきてしまった。
学芸員は「今現在鉱石採集しているところをご案内します。」と言うと皆を博物館裏のヘリポートへ連れていき大型ヘリに乗せた。
ヘリコプターと言ってもローターのヘリコプターではなく反重力浮遊式の音速ヘリコプターである。
武骨な軍用の輸送ヘリで払い下げのものである。
高度1万mまであっという間に到達し地上を見ると首都を中心に放射状に道が広がっていてその回りは赤茶けた砂漠がどこまでも広がっていた。
1時間ほど音速で移動していると砂漠と緑の境界線が見えてきてその境から幾つもの煙筋が見えた。
ヘリは高度を下げてその煙の1つに近づいて行った。
煙りは土煙でその発生源は航空母艦のような形をした「コンバイン」だった。
ヘリはその「コンバイン」の甲板にあるヘリポートに着陸した。
凄い騒音で機械となにかが破裂するような音が鳴り響いていた。
コンバインはゆっくりと移動していて速度は2~3kmと言った程度である。
ブリッジに向かって皆を案内していくと車長が出てきて学芸員とあいさつした。
「ようこそグレート・ライノ号へ。ブリッジにどうぞ。」と言うと車内に入って行った。
車内は比較的静かでほとんど誰もいなかった。
薄暗いブリッジに入ると多くのモニターが並んでいて各部のカメラの映像や情報が見れた。
「このモニターの映像がロータリーの映像です。ここで地面を掘りコンベアで内部に取り込み粉砕機に掛けます。」と車長が説明した。
ロータリーと呼ばれた機械は幾つもの爪が回転して地面を掘り返していて深さ30mあまりを一度に掘ることができた。
粉砕機で粉砕された鉱石は水溶液に溶かされ遠心分離機で分離されたあと電離機で分離される。
カスは後方に廃棄されペレット状の粗原料がタンク一杯に貯まれば輸送機がやって来て回収して行く。
巨大な重機でありながらほとんど人がおらず無人で自動で動いている。
人員の仕事はモニターのチェックくらいである。
24時間稼働していてほぼノンストップであった。
山岳地帯以外はほとんど直線に移動していて森も河もお構い無しである。
モニターの端には逃げ惑う虫のようなものが映っていたがよく見たら動物であった。
牛や馬に似た結構大型の動物たちが逃げ回っていた。
学生達はそれを見て息を飲んだ。
「なんだこれは?!」学生たちは声を上げた。
オペレーターは「はあ?どうかしましたか?」とキョトンとして聞いた。
「惑星開拓で現地の野生動物は保護の対象でしょう?」と学生の一人が聞いた。
オペレターも学芸員達も「青臭いガキが何いってんだか」というような表情で半笑いで学生たちを見ると「ええ、すでに絶滅定数にならないように充分な数を保護区を設けて保護しております。」と説明した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます