第4話  鉱山開発





この星で大量に見つかったタンホイザー鉱石は宇宙船のエンジン製造に欠かせない原料であった。



発見された当時はさながらゴールドラッシュの様で一攫千金を当て込んで多くの人が集まり人口3000万人にのぼった。



それから数十年、ほとんど主要な鉱床は堀尽くしてしまい今現在は地殻に混ざっているわずかな鉱石分をかき集めて濃縮して採集している。




だがこのやり方は歩留まりが悪くあまり採算が取れないので少しずつ廃れて来ている。



今この星にいる人々はほとんどが鉱山関係の労働者である。









だがわずかに農業を基盤とした本来の惑星開拓を目指している人々がいた。












人類が太陽系を脱してからは環境の事や資源の事を考える者はほぼ皆無となり資源を取りつくして無くなれば他の惑星に向かえばいいという考えが支配した。




惑星1個は鉱山1つ程度の感覚であった。




環境保護などごく一部の宗教家のたわごととして顧みられることは無かった。





だが1世紀ほど前から自然回帰運動が盛り上がりを見せ農業を基盤とした自給自足の生活を目指す人々が現れ、一定の人口を形成していた。





この星にもそれらの運動を支持し19世紀末から20世紀初頭の農業の姿を理想として新規就農する開拓民がいた。




彼らは第三世代と呼ばれた。





最初期が第一世代とすればタンホイザーラッシュ期が第2世代、その後に入植した今が第三世代ということになる。





だが開拓民と鉱山開発は互いに相容れないものである。



今現在行われているやり方は鉱山といっても総露天掘りで一日に何ヘクタールもの面積の地面を掘り返し鉱石成分を抽出し残りは廃棄する。



「コンバイン」と呼ばれた幅50m長さ300mの巨大な重機が何台も一斉に取りかかり草木も河も関係なしに地面を掘り返しながら移動して抽出、濃縮、排出を一貫で自動的に行うことができた。





当然コンバインが通った後は不毛な大地が広がって行く。



この重機を使うようになってから急速にこの惑星は砂漠化してきている。



開拓民はこの機械を嫌い、再三に渡ってこのやり方をやめるように鉱山開発業者に申し入れた。



だがこの星に大金を投資した業者達にとって唯一の資金回収手段を手離す訳もなく、そんなものはほとんど無視され続けいつもトラブルとなっている。




この星のことを調べればまず始めに出てくるのは鉱山開発業者と開拓民との裁判の記録ばかりである。







学生達はすでにこの惑星で起こっていることを理解していたが博物館の学芸員はそれらのトラブルはすべてふせていて、この星がいかに成功しているかを強調していた。









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