第4話

重い足を運んで玄関のドアを押すとじめっとした空気が流れ込んできて早速私は昼間の思いつきに後悔したが、しばらく歩いているとまとわりついていたクーラーの風の感覚も消え、じっとりとした空気にも慣れてきた。

 民家の群れを抜け出して着いた田んぼ道。点滅した電灯でかろうじて道の幅がわかった。いつかはは他の散歩をする人ともすれ違うこともあったが、今日は暗がりで

年もわからぬ少女のみ。

そんな事もあってか静寂と質量を持った湿った空気は僕の足を止め、帰りの途中にある川沿いの田んぼ道に置かれたベンチに押し込んだ。

 私は知らぬ間に死んだのではないか。それはそれで苦痛もなくてよかったのかもしれないがまだ感覚も意識もある。

 では気づかぬうちに隣に座っていた白いワンピースの少女は自分の妄想であろうか。しばらくはそんな事を考えていたが静寂か深まるごとに私は妙に落ちついていった

 


 

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青信号にて待つ。 老犬 @face-fan

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