第イチ話
「瑞希、この本のアナザーストーリー書かない?」
「なにそれ、いいかも。」
「でしょ?」
僕らはあれから、あの絵本。"白詰草"を毎日読んでいる。
自分たちで書いた照れくささももちろんあるけれど、再会できた嬉しさからつい毎日読んでしまうのだ。
ミズキの字で、出来たらいいなとか小さく書いてあるところも含めて、この本は愛おしかった。
だからこそ、僕たちは再会することが出来たよということを残したかったのだ。自己満でしかないかもしれないけど、前世の僕らに向けて。
白詰草。
言い出したのはいいものの、タイトルだけ書いたところで手が止まってしまった。
瑞希も同じだ。
なぜか。
本の好きだったカイはもういないからだ。
今の僕は、ゲームが好きだ。本は長らく読んでいない。
絵の好きだったミズキはもういないからだ。
今の瑞稀は、友達と遊ぶことが好きだ。絵を描いてるところは見たことがない。
2人で顔を見合わせて笑ってしまった。
記憶だけではどうにも出来ない何かが面白くて。
だから書いてやったんだ。
白詰草のアナザーストーリーを、今の僕らなりに。
これこそもっと自己満だけど、僕らは満足していた。
白詰草。
著:広野海 絵:小野田瑞希
_______
「あのね、出来たよ再会」
「2人が望んだみたいに再会できた」
「ありがとう」
「今、とっても幸せだよ」
「前世の2人も今の2人も」
「仲良しだから安心してね!!!」
「つづく。」
シロツメクサの光 星莉 @iraka_
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