エピローグ
雪稀と別れてから四年が経った。
不思議な事にあの日の吹雪は私以外誰も覚えておらず、あんなに積もった雪もすべて融けていた。彼がいた証拠となるものは何一つ残らなかった。
唯一の証拠と言える私の記憶もどんどんと薄れていっていた。
それでも彼との約束を果たすために今でも毎朝、日が昇るまであの神社に通っている。
「まったく、早く来ないとこの辺の大学に行かないといけなくなるじゃない。来年は受験もあるし、毎朝これるかどうか分からないのに……」
今日もあの神社に日が昇る。積もった雪をキラキラと輝かせながら。
「さて、日も昇ったしそろそろ行きますか。あれ?」
表には私の靴と一緒に、足首のあたりが凍った茶色のブーツが置いてあった。
「あれ、誰のだろう。どこかで見たことのあるような……」
私は首を傾げた。
奥からギシッという神社の床の軋む音が聞こえた。
私が振り返ると、少し大きくなった彼が笑って立っていた。
「久しぶり、風花ちゃん。」
雪の果て @hosikagami
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