走れ、私
紅蛇
ヒールは、白黒のストライプ。
種類のわからない音楽の、電子音がDJのすぴーかーから流れて、
弦楽器とパーカッションは、少し似てる。低い音の、振動が。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。楽しい。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。長い。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。あ、止まった。
最後らへん、空耳でぷしーきゃっとって聞こえてきて、焦ってたから安心。昨日、クラブで知り合った
駅まで、歩く。少し、早足で。黒い服の、ダサい髪型。「キャバクラどうですか?」と足を止める。ガールズバーのお姉さんたちの生足発見。一本。二本。三本。大根。嘘、四本。顔は……微妙。
喉がいがいがする。酔っ払いの大学生を横切る。二十四時間あいているコンビニに到着し、安堵が溢れる。愉快そうなラジオ。眠そうな店員。減らない商品。冷えているお水。手に取る。あ、マニキュア剥げかけ。耳元に、エアコンの風。——気持ちいい。
お金を払って、また急ぎ足。駅まであと数分。終点まで、あと何分? とにかく急ごう。メイクがひどいだろうなぁ。自慢の長いまつ毛は、
あれ、いつの間に改札。電光掲示板には、終電の文字。あと二分。急げ、私。走れ、私。あ、むり。まって。え。あし。え。い、た。ぐきって、いま。いま、ぐきってい、いった——あ。折れた。ヒール、ぼきって。しにたい。待って、時間は? まだ。ねちっこい前戯よりも、うざい、このヒール。絶対乗ってみせる。裸足になって、走ってやる。階段は残り数段。いける。いける。いける。——ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。とっとっとっとっとっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。とっとっとっとっとっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっとっとっとっとっとっ。とっとっとっとっとっ。とっとっとっとっとっ。ごぉぉぉぉ……とっ——
左手に、ショルダーポーチ。右手に折れたヒール。私が立っている場所は、駅のホーム。目の前には、からっぽな空間。——ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。——え……。——ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。ぶっしかっぶっしかっ。——
知らない曲が、ハエみたいで、うっとうしい。明日、朝から仕事なのに、めんどくさいな。
走れ、私 紅蛇 @sleep_kurenaii
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ゲームクリアを目指して/紅蛇
★9 エッセイ・ノンフィクション 連載中 17話
蛇行するヒト/紅蛇
★27 エッセイ・ノンフィクション 完結済 73話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます