少女・Final
全部が、終わったのだろう。
彼の長きにわたる自分との戦いも、終わったのだろう。
私は、彼を振った。
あはは。そういう形になるのかな。
私は彼の申し出を断ったのだから。
私と彼は、霊とニンゲン。
共には、歩けない。
でも今、私は彼の傍にいる。
彼は霊道部と言う場所を再び見つけ、私達と言う仲間を見つけ、
今も、私の傍にいる。
私も彼を、見守っている。
ねぇ。
貴方は、私のことが、本当に好きだったんだね。
私は、その気持ちを知れただけでも、嬉しい。
ねぇ、……貴方。
惟くん。
私の、願いって何かわかる?
それは、貴方ともう一度共に歩くことじゃないの。
もう、私は死者。
だから私の幸福は追求しない。
私の願いは。
そう、惟くん。
貴方が、幸せになってくれることなのよ。
生活でも、仲間でも、部活でも、恋でも。
貴方に、幸せになってほしい。
それが、
私のただひとつの願い。
ねぇ、惟くん。
私は、もう、貴方とは歩けない。
わかってる。
わかってるのに。
堪え切れないの。
私は、貴方のことが好き。
誰にどういわれようと、貴方のことが好き。
でも、私と貴方は霊とニンゲン。
別の存在だった。
なら、せめて、
私の、片思いで、居させて。
…………惟くん。
大好き。
そして、できることなら、また会いたい。
あの、初雪の降る校舎裏で。
了
初雪の降る校舎裏で 音平稲荷 @opesan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます