少女・Final

 全部が、終わったのだろう。

 彼の長きにわたる自分との戦いも、終わったのだろう。

 私は、彼を振った。

 あはは。そういう形になるのかな。

 私は彼の申し出を断ったのだから。

 私と彼は、霊とニンゲン。

 共には、歩けない。


 でも今、私は彼の傍にいる。

 彼は霊道部と言う場所を再び見つけ、私達と言う仲間を見つけ、

 今も、私の傍にいる。

 私も彼を、見守っている。

 ねぇ。

 貴方は、私のことが、本当に好きだったんだね。

 私は、その気持ちを知れただけでも、嬉しい。

 ねぇ、……貴方。

 惟くん。

 私の、願いって何かわかる?

 それは、貴方ともう一度共に歩くことじゃないの。

 もう、私は死者。

 だから私の幸福は追求しない。

 私の願いは。

 そう、惟くん。


 貴方が、幸せになってくれることなのよ。


 生活でも、仲間でも、部活でも、恋でも。


 貴方に、幸せになってほしい。


 それが、


 私のただひとつの願い。


 ねぇ、惟くん。

 私は、もう、貴方とは歩けない。

 わかってる。

 わかってるのに。


 堪え切れないの。


 私は、貴方のことが好き。

 誰にどういわれようと、貴方のことが好き。

 でも、私と貴方は霊とニンゲン。

 別の存在だった。

 なら、せめて、


 私の、片思いで、居させて。


 …………惟くん。


 大好き。


 そして、できることなら、また会いたい。


 あの、初雪の降る校舎裏で。



 了

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初雪の降る校舎裏で 音平稲荷 @opesan

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