第141話【?】
「ちょっと一郎、どうしたのよ。今日は一郎の好きなカツ丼よ。体調でも悪いの?」
「........」
「もう!一郎、さっきから何しているの!携帯おいて早く食べなさい!」
「.........」
「コラッ、いい加減にしないと母さん真剣に怒るよ!行儀が悪い!高校生にもなって本当に何をしているの? はっ!?もしかしてまた変な動画でも見ているんじゃないでしょうね? ねぇ、ちょっと一郎! また変なサイトに入ってるんじゃないでしょうね!」
「.........」
「今日はもういい。寝る」
「え?ちょ、一郎!?ご飯はどうするの.....って、あ、あなた、あなたも何か言ってよ!」
「まぁまぁ母さん、一郎も年頃なんだ。多少はな。な、一郎」
「.........」
「って、ほんとに行っちゃった......。一体どうしちゃったのかしら。あの子」
「まぁまぁ母さん。一郎にも色々と悩みがあるんだよ。悩みがさ。男には色々とあるんだよ。」
「きもっ、てか何であんなのが私のお兄ちゃんなのよ。ほんと最悪。片方のお兄ちゃんはまともなのに。冴えないことには変わりないけど」
「コラっ、そんなこと言わないの!愛子!」
「だってさ、この前に偶然あいつのスマホ見ちゃったんだけどさ。あいつ、友達の名前を好きなアイドルの名前に登録し直してlineしてるんだよ。虚しすぎでしょ。ふっ、この前は柊さおりちゃんからline来てたわ。あの大人気アイドルのさおりんから。これ、もう病院案件だと思うんだけど」
「え、そ、そうなのか? それは......うん。中々レベル高いなあいつ.......」
「あ、あなた、どうしましょ。一郎が大変なことに」
「はぁ......。あいつが王子みたいにイケメンだったらどれだけよかったか。何で同じ人間なのにこうも違うかなぁ。王子がお兄ちゃんだったらもう毎日が最高なのに」
「王子?」
「ん? ママ知らないの? 王子」
「え、知らない。誰よそれ」
「最近SNS上に現れた謎のものすごいイケメンよ。わかっていることは苗字が田中ってことだけ。はぁ、ほんと同じ田中なのにあいつとは真逆の存在。一度でいいから会ってみたいなぁ。まぁ、絶対無理だろうけど。てかなんで王子、こんな中二病全快の名前にアイコンのアカウントを1人だけフォローしているんだろ? 一応私もフォローしたけど呟きも全部きもいし、マジで意味わかんないんだけど。リア友とか?いや、ないか。とりあえず謎すぎる」
_____もう完全に裏切られた気分だよ。
間宮くん.......。
僕がどれだけ君に尽くしてきたと思っているんだ。
なのに、なのに何てことをしてくれたんだ......。
本当に。
「.......」
別に僕はリンリンちゃんに恋心を抱いていたわけではない。
普通に自分の立ち位置は弁えているつもりだ。わかっている。
でも、これはないだろう。
これは.......。
別に間宮くんがリンリンちゃんとキスをしたことに関しても正直何とも思わない。イチャイチャもどうぞ勝手にしてくれればいい。
でも、本当にこれはないだろう......。
「........」
だって絶対これ、リンリンちゃんのチャンネル終わっちゃうじゃん.......
確実に。
ふざけんなよ。僕がせっかく見つけた天国がこんなに早く終わるとマジないぞ、おい間宮。
これから誰が俺の心を踏んでくれるんだよ。おぉ?
誰が僕のことを罵倒してくれるんだコラッ、ボケ、おぉ?
とりあえず一旦、文化祭の計画は白紙だな.......。
もう勝手にやってくれ。僕は降りる。
本当に完璧な計画だったのに。残念で仕方ないよ。
オッす田中チャンネルももういいや.......。
うん。一気にやる気うせた.....。
とにかく反省しろ、間宮くん。いや、猛省しろ。
まぁそれだけでは当然、僕の腸の煮えくりは収まらないけどな。
『柊さん、例の動画はもう見ましたか? 意味はないですけど、一応動画のurlと間宮くんの住所がわかるマップのurlを載せておきます』
これでよしっと。
とりあえず僕はしつこいぞ。
間宮くん。
まぁ、君しだいでは許してあげないこともないけどね。
君しだいでは
ふぅー、まぁ今日はもう本当に寝るか。
最後にトイレだけ済ましてっと。
はぁ、何で僕の家は2階にトイレがないんだ。
他の奴の家にはあるのに......。めんどくさい
って、ん? 何だこのチラシ?
何だこれ?
古武術教室.......?
鈍感ぼっちくん ~今日も嫌々学校へ向かう~(改定版) お仕事辞めたい... @jetton
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