第140話【開戦?幼馴染みVS幼馴染み?】

 バキッ


 「え?ど、どうしたんですか、ミキ先輩」


 バキッバキッ


 「え? え? そ、それ、ス、スマホですよね?え?嘘?あ、握力で!?」


 「だから誰が幼馴染みよ.....」

 「え?」


 「ケントの幼馴染みは私だけでしょうが......」

 「え?幼馴染み? 本当にどうしたんですか?だ、大丈夫ですか?」


 「やられた...... 。完全にやられたわ。あの女。くっ......絶対に越えてはいけない一線をこんな形で、こんな形で」


 わざとか?計算ずみなのか?

 本当にとんでもないことをしてくれたわね

 あのチャイナ女


 「まさか、まさかライブ配信でイチャイチャを見せつけられた上にキスなんて..... 。今回ばかりはもう見過ごせない。絶対に見過ごせない。あの泥棒女......」

        

 「え?キス?キスがどうしたんですか先輩?もしかして恋バナ! 恋バナですか! 聞きたい、私も聞きたいです! ねぇせんぱ.....って、ヒッ、す、すみません。」

 

 「真美ちゃん。申し訳ないけれどちょっとだけ黙っててくれるかな?ごめんね」

 「は、は、は、はい。す、すみません。ごめんなさい!」

 「本当にごめんね。いいこ、いいこ」

 あの女と違ってね。


 クソッ、クソ、クソ、電話もでやがらなかったし! なんでよ。なんでなのよ!

 ないわよね。もちろんないわよね。

 そ、その先なんて絶対に絶対にないわよね。ありえない。あ、ありえないわよね。

 キスだけでも全身から血が吹き出しそうなくらいなのに、そ、その先なんて絶対にありえない、ありえるわけがないわよね。

 だってケントには私がいるんだし、ないよね。ないわよ......ね。


 「す、すみません。ミキ先輩。もうすぐ今日最後の仕事、雑誌の取材に向かわないと駄目な......」

 「真美ちゃん......」

 「は、はい」


 「マネージャーに体調がものすごーく悪くなったから帰るって言っておいてくれる?」

 「え? そ、そんな学校の仮病で早退的なノリで帰......」

 「真美ちゃん?もう一回言った方がいいのかな......?」


 バキッ


 「ひっ、す、す、すみません。ひゃ、ひゃい。わ、わ、わかりました」

 「うん。いいこ。いいこ。真実ちゃんはものすごくいい子」


 くっ......でも本当にまさかこんな手を使ってくるなんて

 私たちに見せつけるため?

 ぜ、絶対にそうでしょ。だってそれ以外にあんな光景をあんなに大々的に配信する必要ある?


 し、真に恐れるべき相手を見誤った......

 ナメやがってあの女....... 


 本当に今回ばかりはなんとしてでもあの女と直接話をつける。

 絶対に

 

 まず、ケ、ケントのファーストキスはこの私よ。

 し、小学生の頃にしたもん。

 キス......。


 絶対にしたもん!

 ケ、ケントの初めての相手は私だもの。

 今までも、そしてこ、これからも......


 「じゃあ真美ちゃん。宜しくね」

 「は、はい!」


  負けない。私が負けるわけない。

 

 私がケントの幼馴染み!

 そして未来のお嫁さんなんだから!

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