全てが敵のこの戦場で

大佐

第1話 愚かな世界の崩壊(序章)

西暦2019年


太陽系が崩壊した。


月に巨大な隕石が衝突し太陽系の軌道から外れ、消失した。

月が無くなった影響でバランスが崩壊し、

太陽は地球から離れその他の天体の大半が地球に接近した。

地球では、大混乱が起き二度目の世界恐慌が発生した。

食料自給率は極端に低下し、やがて食料を奪い合い第三次世界大戦が勃発。

人類の半分が戦死し、先進国のごく一部のみが生き残った。





それから、数年が経過した。


地球に接近する天体が確認された。

世界共同で調査を進めた結果、人が住める環境だということが確認された。

その天体は「第2の地球」と呼ばれた。

荒廃する地球で新天地に上陸するという結論に至るまでに一日もいらなかった。


太陽系が崩壊しちょうど十年が経過した頃、

人類史上最大の上陸作戦が開始された。


結果は大成功だった。

一人の死傷者も出なかった。


しかし、新たな問題が浮上した。

第2の地球には、人類が存在したのだ。

彼らは自らの事を「神聖な帝国国民」

我々の事を「野蛮な侵略者」と呼んだ。


これを受け、現地で戦闘が発生した。



結論から述べると、彼らは強すぎた。


「八木帝国軍」と名乗る現地の軍隊800名程に対して地球連合軍約3万名が全滅した。


八木帝国軍は見たことも無い兵器を使用してきた。これが非常に強力で戦車も航空機も

歩兵もみな等しく散っていった。


それでも地球連合軍はあきらめなかった。

何度も何度も上陸作戦を繰り返しては失敗

して、湯水の如く戦力を消費し続けた。

既に第一次上陸作戦から2年が経過していた



それから半年後のある日、誰も居なくなったアフリカ大陸に八木帝国軍が上陸した。


彼らはたった1週間で地球連合軍本拠地である欧州を占領した。


そして、我々にメッセージを残した。


「この荒れ果てた星の愚かな民に告ぐ。

これ以上、我々の星を侵すべからず。

さもなくば、貴様らに未来はない。

我らが皇帝は貴様らに寛大なる温情をかけて下さった。講和を望むのなら我々はそれを受け入れる用意がある。」


「理性ある返答を期待する」


地球連合軍内では意見が綺麗に分かれた。


武力による解決を目指す合衆国と連邦国


講和による平和的解決を目指す王国と共和国


現状維持を求める市国と協商連合



現在、講和派が最有力である。

その最中、大事件が起こった。

とある極東の島国が八木帝国に亡命したのだ


これを受けた地球連合軍は混乱した。

その混乱に乗じて武力派がクーデターを起こした。

クーデターは成功してしまった。

結果、維持派は武力派に吸収され、講和派は消滅した。


さらに半年後、第一次上陸作戦から5年後のある日、第2の地球もとい八木帝国本土に向け、核ミサイル数百発が発射された。






この出来事が、地球滅亡への大きすぎる一歩

となってしまった。

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