第2話 あの場所

僕が住んでいる場所は結構な田舎で山や海に挟まれている。そのため交通面は不便で電車は通っていない。バスはほぼ1時間に1本の割合で走っている。電車を使いたければ山をこえて隣町に行かなければならない。

僕が通っている高校も隣町にある。今から行くつもりでいる場所も。猛暑の中、汗を大量に流しながら自転車のペダルを漕ぎ続ける。

体力を振り絞り山道を自転車で登っていく。

やっとの思いで山をこえ、隣町に着くことが出来た。コンビニで休憩をし、再び自転車を漕ぎ出す。目的地に着いた。そこは森に囲まれた神社だ。入口には大きな鳥居が立っている。僕は鳥居の前に自転車を止めて中へと進む。

「遅いぞ!春樹」っと一人の少年が言う。

彼は僕の唯一の友達の真春だ。女子っぽい名前ではあるがとても男らしい性格だ。運動も出来て勉強も出来るサラブレッドでもある。今まで言ってはこなかったが僕の名前は春樹と言う。

真春は小学校の頃からいじめを受けている僕の事を気にかけてくれていた。時には助けてくれたこともあった。僕は昔から真春を尊敬している。一人の人間として。


「ごめん、真春。自転車漕ぐの大変で。」

と言いながら遅刻したお詫びにと今さっき休憩がてらに寄ったコンビニで買った飲み物を彼に渡す。

「それは大変だな、暑い中なんかごめんな。」

真春は笑顔で僕に言う。

やっぱり真春はいいやつだ。これからもこいつと仲良くしていたい。

「あ、そういえば美波は?」

「あぁ、部活があるから終わったら学校から 直接ここに来るってさ。」

美波は僕の幼馴染みでいつも仲が良かった。真春と同じで僕が虐められていても周りの目も気にせず接してくれる。2人は僕を通して仲良くなり次第に三人で良く遊ぶようになった。真春は彼女が居るのでたまに遊べないが良く僕らの相手をしてくれる。美波は部活で忙しいのに集まるとなれば終わってからでも必ず来てくれる。僕はこの二人が大好きだ。

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存在価値 時をかけすぎた少年 @kokage

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