エピローグ

……ジョロロ、ジョロ。

相変わらずキレが悪い。今度はどっちのトイレだ。アイ、頼むからリビングにいてくれよ。

しかし、リビングには誰もいない。

子どもたちは?学校か?アイ、嘘だろ?もう会えないわけじゃないよな?ここはどっちの世界なんだ?不意に、玄関のドアを開ける音がする。

「ただいま、ユウゴ!病院行ってきた」

ひっつめ髪だけど、可愛い。今日は薄いファンデーションとオレンジ色のリップを塗っているアイがそこにいた。アイは笑っていた。アイに抱きつきそうになるのを一瞬こらえて、次の言葉を促す。

「え?お、おう。おかえり。病院?どっか具合でも悪いの?」

「…できてた!」

穏やかに口元を緩ませて笑うアイ。付き合ってた頃もそうだったけど、今はもっと可愛いかも。そう思えた瞬間だった。

「え、3人目?そうか!またまた賑やかになるなー。今度こそ俺も全面的にバックアップする!いや、させてもらう!」

アイが興奮気味に頷きながらつづけた。

「うん。ありがとう!これからもよろしくね、ユウゴ。それでね、双子だって」

「…え?は?」

冷や汗が俺の背中や額を伝う。アイは俺の困惑などお構いなしにまくし立てる。

「だから、双子。産まれたらめっちゃくちゃ忙しくなるよー!でも楽しみだね。部屋とかどうしよう」

双子って、可愛さもだけど大変さ2倍だよな。またアイと関係が悪くならないように気をつけて行動しなくちゃ…そりゃ嬉しさもあるけどさ、不安の方がデカイよ。額に汗をかきまくる俺にアイが一言、

「ところであのさー、昔からそんな癖あった?アキトとリンが真似すると困るからそれやめてほしいんだけど…」

アイの指差す俺の下半身付近に目をやると、俺は無意識のうちにズボンを下げ、ボクサーパンツのゴムに手をかけていた。あれ、今度はサエちゃんのところに飛ばない。そうだよな。いい加減腹括れってことね。

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ユウゴの二重生活 西島ヒカリ @sachicoism

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