無題

第1話

いつも通りの毎日を過ごそうとしていた今日。

そんな事はできないと分かっていた今日。

何故ならば今日は入学式だからだ。

とても憂鬱だ。ずっと家に居たい。

こんな私に友達なんかできるわけが無い。

ただ、私のせいでいつも心を痛めているだろう両親に、心配をかけたくない一心でそこそこの公立高校ヘ受験し、今に至る。

私は重い足をなんとか動かし玄関の扉を開いた。

入学する前は不安と憂鬱しかないものだが、なんだかんだ友人はぽつぽつと出来始めるものである。

入学して浮ついた気分が収まり始めると中学の頃の友人Aと友人Bの黒い噂が流れ始めた。

彼らは中学時代の教師といかがわしい関係にあるらしい。

昨今は情報がすぐに広まってしまうものだ。

不意にそう思ったのか、魔が差したのかはわからないが、ちょっとした話をしてしまったばかりに、瞬く間に拡散されてしまった。

彼らとは仲が良かったと思っているため、侮蔑や同情、驚きなど色々入り混じった感情が襲ってきた。

だがもう中学時代の関係は無くしたものだと私は割り切った。