囚われた心が行きつく先は

久々に再会した友人が披露するのは、謎めいた話。意図が掴めない「僕」とともに、読者も耳を傾ける。淡々と紡がれる言葉が表すものとは――

落ち着いた語りと、無駄のない構成に酔いしれた。ゆるやかに撒かれる伏線も心地良い。
飲めば飲むほど深まるコーヒーのように、読み返す回数が多いほど濃密な味わいとなる。

飽きのこない、重厚な世界を堪能あれ。