OPT.07
4月 30日、敷島学園 第11分校。
その敷地内から、ウルフ多用途車と九五式小型乗用車が出発する。ウルフ多用途車の運転席には濃藍、助手席に清定、後席に天狼と千佳が、九五式小型乗用車の運転席に六合華、助手席に光、後席に忠実が座っていた。
「何で、買い物に行くことになったんだっけ?」
光が問い掛けると、六合華が答える。
「親睦を深めるのと、334指令に必要な物を買い揃える為に、八坂さんが企画したんだよ」
「何だってそんな事――」
「でも、私達、あまりお互いのことをあまり知っていないし、いい機会だと思いますよ」
光の愚痴に、忠実が言葉を重ねる。
森の中の道路を走る2台は、やがて森を抜けた。そこには、街が広がっていた。
アトランテ大陸には、各国の防衛技術研究校の他に、戦闘訓練や模擬戦争の為のハリボテの街が至る所に作られている。しかし、いつしか生徒相手の商売をする輩が住み着き始め、いつの間にか本当の街と化した場所もあった。
その1つが、サルポロ市である。
サルポロ市内に入った2台は、大通りを進み、細い路地へと入る。そして駐車場に止まった。九五式小型乗用車の右隣には、乗用車にしては大き過ぎる車が止まっていた。竹内製作所 軽装甲機動車、敷島連邦陸軍で制式採用されている歩兵機動車である。そのフロントバンパーには[381歩小 本部]と白いスプレーでかかれていた。
「このLAV(軽装甲機動車)ってさ……」
「うちの学級委員が使ってる車だな」
清定と濃藍が軽装甲機動車を眺める。そこへ、車の主がやってきた。
「あら、4分隊の方達」
「あ、学級委員だ」
そこには、金髪ポニーテールの長身美女が立っていた。しかし着ているのは、光達と同じ真っ赤なブレザーにパンツルックである。
アレクサンドラ=アーサー=ペティット、グレートイングランド連合王国から敷島連邦へと移住し、敷島学園に入学、歩兵科 1年 381組の学級委員であり、第11機甲旅団 第381歩兵小隊 小隊長を務めている。
「なんか買い物?」
「用が無ければわざわざ街まで出ることは無いでしょう? 貴女達も買い物かしら?」
「作戦で必要な物を買いに。んで、何を買ったの?」
清定が訊ねると、アレクサンドラはレジ袋を掲げた。
「包丁だ」
「包丁?」
「今使ってるのが折れてしまってな。まぁ、もう8年も使ってたからな。しかし、和包丁の切れ味は素晴らしい。敷島刀と同じ製法で作られ、鍛え抜かれた鋼鉄の美しさ――」
「待って長くなるじゃんその話」
青春装甲騎兵隊 神奈内かんな @fox3
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