短くサラッと読めるのに、そこに書かれている内容の濃さ=面白さから目が離せません。
たった一人のしがない(?)中年も、教え子たちからすれば大恩人にして大賢者。彼に危害を加えようとする輩は闇討ちし、脅威となる存在は人知れずに排除する。
しかも、彼等が持っているのは強さだけではない。頭脳を用いた権謀術数を得意とする者も居れば、富や権力で根回し手回しもお手の物。隙が無いとは正にこの事。
けれども、個人的に一番推したい点は主人公の包容力に他なりません。ツンツンと何処となく尖った人間も、彼の為人に触れればあら不思議。まるで飼い主に懐いた猫のように丸くなってしまうのです。
この主人公の最大の武器は頭脳でもなく、容姿でもなく、この包容力だと思いまする。
読んでいるだけで心が温まり、続きが気になるハートフルストーリー。最終的に大賢者は何になるのか気になる今日この頃。
年上の大人が子供達に(過剰なまでに)愛される姿を見たいという人は是非こちらの作品を読んでみて下さいませ~。
タイトルに日常譚なんて書いてしまいましたが、実際どうなんでしょうか。違うような気がしてなりません。
それはさておき、この物語の解説をば。
この物語は、主人公であるラルシュが、大成した元教え子たちに振り回され、周囲はそれを見てラルシュを『大賢者』と呼び、結果何もしていないにもかかわらず大変なことになってしまうという、いわば勘違いコメディ。
この時点でタイトル詐欺なレビューですねごめんなさい。
それはさておき。
主人公であるラルシュは、純粋という言葉が親切という言葉で作った服を着て歩いているような人。誰にでも優しく接し、相手を貶すようなことは天地がひっくり返っても在り得ません。
そんなラルシュに、元教え子たちは強い敬愛の念を抱いており、皇太子や聖女、騎士団長といった立場を利用してラルシュを助けるのですが……これがまた微妙にかみ合ってなくて面白い。
ラルシュは自宅でのんびりと過ごすことを望んでいるわけですが、元教え子たちはそれはもう凄まじいまでにラルシュを持ち上げて、ある事ない事、いや、ない事ない事言われてしまいます。『大賢者』とか『大賢者』とか『大賢者』とか。
そんな元教え子たちとのほっこりするやりとり、読んでいて和みます。本当に。
そして誰に対しても優しく接するラルシュの言動が、とにかく心温まります。たとえ他の人たちが悪く言っている人も、ラルシュは自身の目を持ってその人の事を判断し、どこまでも相手の事を気遣って接します。
その結果彼に関わった人物はほぼ例外なく彼を慕うようになるわけで。作中では『人たらし』なんて呼ばれてます。多分私もそうなってしまうでしょうね。
最後に、最近はストレスの溜まりやすい世間様ですが、イライラしたときはこの小説を読んで、ラルシュに癒されるのが良いかもしれません。心温まるひと時を、この小説は提供してくれますから。
正直最初はよくある設定だけ壮大な異世界物かと思ってたんですが、読んでみるとゴキブリがゴキブリホイホイに捕まるかの如く作者さんの世界に惹き込まれて行きました。
そうして気づけば作者さんのファンに...!
あぁん!1話読む度にゾクゾクするのぉぉおぉお///
と冗談はさておき(´・ω・`)
最近のweb小説は正直オ〇二ー小説ばかりでク ソ程も面白くない
と思っておられる方にも自信を持って勧められる1作だなと思いました。
ぜひ1話だけでも騙されたと思って見てみてください。
追記:更新中で話数がまだまだ少ないので今のうちに読んどけばこの小説が大ヒットした時に古参ぶれますよォー!( ˙꒳˙ )キリッ