黄昏のIX・A

作者 アズサヨシタカ

断ち切れない未練、それを体に刻む、生きた亡霊《イクサ》の物語

  • ★★★ Excellent!!!

 何らかの理由によって、現世に再び舞い戻ってきた武士たち。

 その体には因果という名前の、過去に残して逝った未練が刻まれていた――。

 そんな生きた亡霊、死に切れない屍たちを《イクサ》と呼び、そのイクサたちが自分の因果と向き合っていく過程で、さまざまな出来事が起こり、物語が進行していきます。

 特に主人公である『テン』の、あくなき二刀流と剣術に対する向上心と、頂の境地へ至ろうとする渇望は……この物語がただイクサ同士のバトルだけではなく、ツワモノの精神的な修行にまで手を伸ばす、本格的な武士の話だと感じさせます。

 また、この話の中でいろんなイクサ、過去の武士たちが登場するわけですが……最初はそれが誰なのかわからないように、名前が伏せられたままの状態で登場します。

 それが誰なのか、その因果の銘や、言動から推理するのもまた面白く、話の背景として『なんで彼らイクサが、現世に黄泉返ってきたのか』が徐々に明らかになっていく過程も、興味深い話の構成となっています。

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