ラブコメというジャンルで真っ先に頭に浮かぶ印象、キャラ、そしてやりとりがそれぞれあることだと思います。
もちろん、一言でラブコメと言っても、主人公の性別や性格、ハーレムか一途か、いろいろ細部は違ってきますが、この物語はどちらかというと『家族』というカテゴリに属するラブコメのようでラブコメではない……そういう印象を受けます。
何かしらの理由によって親がいない家庭に、突然ファンタジー世界から飛び出たような女性が家に転がり込んで、母親になると宣言する――。
ここまでの流れを見れば、ラブコメの典型的な形と見えてしまいますが、主人公と、その周りの人物たちを取り囲む環境や内面の話は、そう軽くはない複雑な事情を覗かせてダークな雰囲気をも醸し出しています。
そう明るくはない……かと思っていたら、ラブコメならではの定番な場面とやりとりも出てくる……そういう絶妙なバランスのうえで、家族とは何なのかをもう一度考えさせる物語だと思います。