一夏のある出来事を中心に、まだ幼い主人公の憧れ、寂しさ、冒険心、もどかしさなどを綯い交ぜにして、一枚の写真に収めたような物語。はっきりとは描かれないメトロポリスの姿は、読者の想像に委ねられ、たった3000文字でも世界が広がります。
椎名誠のアド・バードを思い出すような、子供の旅。起承転結がきちっとまとまってました。この話を長編にしても良いかも
中心地の巨大都市と街区という近未来を舞台装置に、それをつなぐ姉と鉄道線をめぐる子どもの冒険譚というレイヤーを重ね合わせて、落ち着いた展開ですが不思議とノルタルジックな読後感を体験させて頂きました。鉄道の支線先の先進的で巨大に見えた都市は、実は非実体経済のせいで……という結末、待望の姉も、ずっと帰って来ないように思えて後で振り返れば……だったことも、良くも悪くも大げさで針小棒大に感じやすい少年期ならではの感じ方のように感じました。