第10話 デビューの誘いと結婚
誕生日を迎えて十九才になった。
高校二年生の頃から徐々に、悠真の体調が悪化することが多くなった。
月に一回、高校時代の軽音楽部の仲間たちと共に、ライブハウスでライブをしたりしていたけど、悠真が倒れて、病院に緊急入院してから、全然ライブがやれていなかった。
「悠真、大丈夫?」
「病名、お前にだけ、教えてやるよ」
「え? 病名?」
悠真から伝えられたのは、骨肉腫でしかも余命は二十歳になるかわからない、とのことだった。
どう家に帰ったのか、覚えていなかった。
家のベッドにダイブする。
悠真の病気は思っているよりも進行が早くて、もう手遅れの状態らしかった。
わたしは泣きそうになった。
「悠真……。治るよね?」
ライブの時間になった。
「悠真! 久しぶり」
「あ、みんな。久しぶりだよね。ごめんな。ライブ、できてないもんね」
ライブハウスでのライブ直前に一時退院した悠真とわたしがやって来た。
そのため、『Sky Blue and Summer』の復活ライブになったのは、とても嬉しかった。
とてもびっくりしたけど、面白かった。
「そういえば、陽菜乃と悠真さ、結婚するの!? びっくりしたけど」
「うん。入籍するのは、全然決めてないけど。すぐにって感じがいいな」
わたしは悠真からプロポーズされて、もちろん返事はしたよ。
婚姻届はもう証人のサインとかもしてもらっていて、いつ届けを出してもいいって感じだった。
「ライブのあとに出しに行かない?」
「いいよ?」
ライブが始まると、悠真とのツインボーカルがとても気持ちいい。このライブは忘れることができない。
ライブが終わり、わたしは悠真と共に役所の窓口に出した。
わたしはとても幸せになったの。
「悠真。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
同時にあいさつしていたから、笑ってしまった。
夜は初めての夜がやって来た。
しばらくして、ライブハウスでのライブが終わり、片づけをしていたときだった。
「君たちが『Sky Blue and Summer』だよね。リーダーは誰かな?」
相馬が前に出ていく。
「はい。そうですが」
「私はこういった者です」
そう言って彼ががもらった名刺は、大手の音楽事務所のマネージャーのものだった。
「このみなさんのライブ、とてもすごかったです。是非、デビューしませんか?」
「え! もしかして……スカウト?」
それを聞いたとき、びっくりして悠真と見つめてあった。
それがいまのバンドの形になった瞬間だった。
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