絶対に想いが届く手紙

tada

絶対に想いが届く手紙

 ある日の朝ポストを見に行くとそこには『絶対に想いが届く手紙』と書かれた便箋が一枚そして送り返す用の便箋が一枚入っていました。

「何これ? 詐欺?」

 当然私は、疑いましたこんな危なそうなもの誰が信じるか、そんな気持ちで多少遅刻気味だったので適当に机の上に置き朝の支度をして家を出ました。


夏々かか、おはよう〜」

 私の名前を電柱に寄りかかりながら呼んだのは、友達で幼馴染で私が密かに想いを寄せている愛傷あいしょう よしみ


「おはよう〜」

 私は挨拶を返しそのまま好に抱きつきます。

「好、成分注入〜」

 これが私の元気の源、生きる希望、生きる意味、最近では三日抱きつけなかっただけで、脱力状態になり部屋から一歩も出れなくなってしまったほどです。


「もう夏々〜私も夏々成分注入〜」

 そう言いながら好は、私に抱きついてきます。ぎゅーっと抱きつかれれる方も気持ちいです。


 これが、私達が学校に行く前にする恒例行事、そして私達は高校に向かいます。


 私達は、親同士が仲がいいのもあって昔からよく遊んでいました。まるで本当の姉妹のように。

 けれど中学三年生頃、突然私は好を姉妹としてでなく、一人の女子として見初めてしまいました。

 年齢のせいでしょうか? けれど周りの友達達は好きになるにはなるらしいのですけど、それは女子ではなく、男子らしいのです。

 その時私は、凄くショックを受けました。

 周りと違う、私が異端だと思いしった時は、引きこもりました。

 そんな時にも隣には好がいました。


「私、女の子が好きみたい」

 私は、好の名前は出さずに相談をしました。私が変だってこと。

 すると好は、笑顔で言ってくれました。


「別にいいと思うよ。好きになるのは普通のことだしね」

 その言葉で、私は救われました。

 引きこもりも治り、そして今に至ります。


 しかし私は、今もまだ好に言えていません。

「好が好き」この一言が言えてないのです。

 いつか言おういつかその時がきたら言おう。

 しかしその時は逆の形で、突然訪れました。



 帰り道横断歩道で、私が引かれる寸前のところで好は、私を守って死んでしまいました。

 私は一生好に好きの一言を言えなくなりました。

 悲しいです。

 涙が溢れます。

 その場が血の海に染まっていきます。

 少しするとサイレンが鳴ってきました。

 突然だれかが、好の体を持っていきます。

「やめて! 好に触らないで!」

 すると誰かが私を止めます。

 私の声はもう誰にも届かない見たいです。

 好に想いを伝えたかったです。



 それから数ヶ月が経った頃私は、引きこもり中の部屋の中である便箋を見つけました。

 それは好が亡くなったその日にポストに入っていた『絶対に想いが届く手紙』でした。

 本来ならその日の内に捨ててしまっても問題ない物では、ありますがあの日は少し遅れ気味だったので、机の上に適当に置いて家を出た覚えがあります。

 そしてあの日以降私は、部屋の掃除なんてしていないので残っていたのでしょう。


 そんな嘘くさい便箋に私は、色々想いを書きつつ最後に「好きです」と書いて手紙を書き終わった。


 そして翌朝、机の上を見ると私の手紙は無くなっており代わりに別の手紙が置いてあった。

「愛傷 好より」

 と書かれた手紙だった。

 その名前を見ただけで涙を流し、一文一文を大切に読んでいく、これが本当に最後の好の言葉だと思う。

 そして最後。

「とっくに気づいてたよ。あの夏々が引きこもってる時に相談されたあの日からずっとね。いつ言ってくれるのかなって思ってたのにな〜。まぁいっか今手紙で言ってくれたしね。じゃあ一応返事を『私も好きだよ夏々』

 あーあともう一つ、ちゃんと高校は行きなよ」


 最後の一文で、私は涙をぬぐいながら部屋から足を一歩踏み出した。

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